【新型コロナ】ワクチン接種を受けた人は罹患後症状の頻度が半分に減少 ワクチンの効果は高い
オミクロン株流⾏期の感染者の罹患後症状の頻度は低い
ワクチン接種者は罹患後症状の頻度が半分に減少
研究は、国⽴国際医療研究センターが発表したもの。研究グループは今回、⼤阪府⼋尾市で、いわゆる新型コロナの流行の第4〜6波にあたる2021年3⽉~2022年4⽉に、新型コロナに罹患しHER-SYSに登録された18歳〜79歳までの成⼈4,185⼈を調査した。
HER-SYSは、厚生労働省が運営している、新型コロナ感染者の情報を把握・管理するためのシステム。
新型コロナの罹患後の症状をアンケート調査で評価し、性別・年齢などをマッチさせた⾮感染者3,382⼈(対照群)と⽐較した。新型コロナ初回感染後に出現し、感染から3ヵ月時点で有し、2ヵ月以上続く症状を罹患後症状と定義した。感染者は、初回感染から平均271⽇経過し、83.9%が軽症者だった。
その結果、感染者での罹患後症状の頻度は15.0%と、⾮感染者の長引く症状(4.4%)と⽐べて、3倍⾼いことが分かった[性・年齢調整オッズ比 3.86、95%信頼区間 3.20~4.64]。
一方で、感染前に新型コロナワクチンの接種を1回以上受けていた人は、接種を受けていない人に⽐べて、罹患後症状の頻度が約半分に減っており、ワクチンの効果が高いことが示された。
また、感染者の罹患後症状の頻度は、アルファ株・デルタ株流⾏期の感染者の27.0%に⽐べて、オミクロン株流⾏期は12.8%低かった。
さらに⼥性や、感染前に既往歴がある人、新型コロナ急性期に⼊院したことのある人で、罹患後症状の頻度が⾼かった。
これらの結果より、軽症者を中⼼とする成⼈集団で、新型コロナ罹患が罹患後症状の発⽣と関連があることや、感染時期により罹患後症状の頻度が異なることが示された。
調査は、2022年11⽉にWEB質問紙(60歳未満)または紙質問紙(60歳以上)を⽤いて実施され、7,567⼈(感染者4,185⼈、平均年齢44.7歳、⾮感染者3,382⼈、平均年齢45.5歳)が回答した。
「これまで成⼈で、新型コロナの罹患後症状の頻度や関連要因について、⾮感染者との⽐較や流⾏する株による違いについての報告は限られていました」と、研究者は述べている。
「今回の調査により、感染時期によって罹患後症状の頻度に違いがあることが分かりました。今後も、罹患後症状の持続期間や⽣活への⻑期的な影響を検討していく必要があります」としている。
研究は、国⽴国際医療研究センター(NCGM)の国際医療協⼒局グローバルヘルス政策研究センターの磯博康センター⻑、堀 幸上級研究員らの研究グループが、⼤阪府⼋尾市保健所と共同で行ったもの。
国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター(iGHP)
Risk factors for post-coronavirus disease condition in the Alpha-, Delta-, and Omicron-dominant waves among adults in Japan: A population-based matched case-control study (Journal of Medical Virology 2024年9月23日)