「インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版」を公開 日本糖尿病学会
インクレチン関連薬の使用上の留意点を7つのポイントで解説
日本糖尿病学会は、薬剤の安全使用に関する委員会による「インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版」を公表した。同Recommendationは、日本糖尿病学会のウェブサイトからダウンロードできる。
DPP-4を阻害しGIP、GLP-1の活性を高めるDPP-4阻害薬は、2型糖尿病治療薬として開発され、非肥満、インスリン分泌不全を主な特徴とする2型糖尿病に対して広く用いられている。また、GLP-1、GIPを投与した場合、中枢に作用して食欲を抑制し、減量効果も発揮するため、GLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬がそれぞれ開発され、主に肥満、インスリン抵抗性を主な特徴とする2型糖尿病に対して用いられている。
とくにGLP-1受容体作動薬は、著明な血糖改善効果や減量効果に加え、糖尿病関連腎臓病(DKD)や心血管疾患に対するadditional benefitsが示されたことや、経口投与可能な製剤が上市場されたことを受け、使用頻度が増えているとしている。
Recommendationでは「インクレチン関連薬の使用が一般化するなか、今一度、インクレチンの作用にもとづく2型糖尿病治療薬の使用上の留意点について確認されたい」として、下記の7つのポイントを挙げている。
- インクレチン関連薬と重症低血糖が危惧される薬剤の併用について
- インスリン製剤からGLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬への切り替えについて
- サルコペニア・フレイルのリスクの高い高齢者へのGLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬の使用について
- インクレチン関連薬と水泡性類天疱瘡について
- インクレチン関連薬と膵疾患について
- インクレチン関連薬と胆道系疾患について
- インクレチン関連薬とRS3PE症候群について
日本糖尿病学会では「インクレチン関連薬には上述した7つのポイント以外にも現時点で因果関係が必ずしも明確ではないものの、想定すべき有害事象が存在し、注意が必要と考えられる。今後、リアルワールド研究や基礎研究、臨床研究を推進していくが、詳細については各薬剤の添付文書や文献などを参照いただきたい」としている。