自宅でエビデンスに基づいた運動を実現 患者と医師が運動データを共有 新しい運動支援サービス
運動療法の指導や患者の運動メニュー把握の課題を解決
運動療法は、2型糖尿病をはじめとするさまざまな疾患の治療に有用であるとされている。しかし、医師が運動療法の具体的な指導内容を指示したり、患者が実施している運動メニューをすべて把握したりするのは困難な場合がある。
一方、適切な運動メニューが分からないことが、患者の運動意欲低下につながり、運動の開始と継続における課題となることがある。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大にともない、外出の制限やリモートワークの浸透などさまざまな生活環境の変化により、運動の機会が減少していることから、運動の頻度・量の維持改善は課題であると考えられる。
運動記録をスマホアプリで医師と共有 医師は患者の運動履歴を確認
「Fit-eNce Home(フィットエンス ホーム)」はこれらの課題を解消すべく、患者が医師による指導のもと、科学的根拠のある運動プログラムを自宅で継続的に実施できるよう構築された、新たな運動支援サービス。
同サービスで提供される運動プログラムは、ネスタジャパン監修のもとで、医学系研究で2型糖尿病患者の血糖コントロール改善に対する有用性が確認された「Fit-eNce(フィットエンス)」の運動プログラムと同等の頻度・強度・量となるように設計されている。*
日本国内で実施した医学系研究(コントロール群を対照とした運動介入研究)で、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善に対する臨床的な有用性が確認されている。
Yasuo Terauchi, Tetsushi Takada, Satoshi Yoshida. Diabetology International, 28 April 2021, doi:10.1007/s13340-021-00506-5
このサービスでは、まず医師から紹介を受けた患者が、専用のスマ-トフォンアプリで医師に利用申請し、医師から同サービスの利用についての承認を得た後、運動を開始する。
運動プログラムは、有酸素運動とレジスタンス運動(標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動)で構成され、有酸素運動は専用の動画と心拍計を用いて実施し、レジスタンス運動はトレーニングチューブを用いて実施する。
患者はオンラインパーソナルトレーニングを通じて、スポーツトレーナーから個々の患者の体力に合った強度設定や具体的な運動の実施方法についてのアドバイスを受けることができる。
さらに患者は、運動記録をスマートフォンアプリを通じて医師に共有でき、医師は、専用システム上で個々の患者の運動履歴を確認し、患者との日々の運動状況の確認やコミュニケーションに役立てることで、患者の運動継続をサポートすることが可能になる。
医療従事者向けサイトも開設 医師のニーズにも対応
医師は、「Fit-eNce 医療従事者向けサイト」から医師登録が可能になっている。
医師はこのサイトを通じて、サービス内容やパンフレットの確認、オンラインや電話での説明の要望、サービスご利用のための医師登録(無料)が可能。
なお、科学的根拠のある運動プログラムをフィットネスクラブで継続的に実施する運動支援サービス「Fit-eNce(フィットエンス)」は、神奈川県を対象とした地域限定の販売が継続される。
アステラス製薬はRx+事業の一環として、医学と運動の融合による科学的根拠に基づいたヘルスケアソリューションの創出と提供を目指し、「Fit-eNce(フィットエンス)」および「Fit-eNce Home(フィットエンス ホーム)」を創成した。
「引き続き、適切な運動が実践される社会、ひいては心身ともに健康に、自分らしく生きることのできる社会の実現を目指していきます」と、同社では述べている。
* ネスタジャパン
NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)は、米カリフォルニアに本拠地を置くパーソナル フィットネストレーナーの資格認定団体。同協会は、米国政府認定機関に選ばれているトレーナー育成団体として、1992年よりトレーナーとフィットネスに関わる人材の教育を行い、現在世界80ヵ国でNESTA の資格を持ったインストラクターやトレーナーが活躍している。日本では2007年より資格認定を始め、現在約7万5,000人のNESTAメンバーがいる。