2型糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬の初のジェネリック医薬品を承認 米FDA 米国で不足医薬品に
GLP-1受容体作動薬の初のジェネリック医薬品を承認
米国食品医薬品局(FDA)は12月23日、GLP-1受容体作動薬であるリラグルチド(18mg/1筒3mL)について、ジェネリック医薬品を承認したと発表した。GLP-1受容体作動薬では、はじめてのジェネリック医薬品となる。食事療法と運動療法の補助として、2型糖尿病の成人および10歳以上の小児の患者の血糖管理の改善を適応としている。
リラグルチドなどのGLP-1受容体作動薬は米国で不足しており、FDAでは「不足している医薬品のジェネリック医薬品申請の評価を優先した。これらの薬を必要とする患者がアクセスしやすくすることを目指している」と述べている。
「FDAは、必要な医薬品へのアクセスを増やすための継続的な取り組みの一環として、研究に資金を提供し、業界にガイダンスを通じて情報を提供することで、GLP-1受容体作動薬などの複雑なジェネリック医薬品の開発を支援している」と、FDA医薬品評価研究センターのジェネリック医薬品室長であるIilun Murphy氏は述べている。
「ジェネリック医薬品は一般的に、患者にとってより手頃な価格で利用できる追加の治療オプションを提供する。今回の承認は、安全で効果的、高品質のジェネリック医薬品へのアクセスを促進するFDAの継続的な取り組みを強調するものだ」としている。
インクレチンのひとつであるGLP-1は、食事をとり血糖値が上昇すると小腸のL細胞から分泌され、膵臓のβ細胞表面にあるGLP-1受容体を活性化することで、インスリン分泌を促す。GLP-1は2型糖尿病患者で不足していることが多いことが知られている。GLP-1受容体作動薬は、GLP-1受容体に対してGLP-1と同じように働き、GLP-1受容体を活性化させ血糖値を改善する。
リラグルチドは複雑なペプチド製剤であり、そのジェネリック医薬品の開発では、有効成分、製剤、投与方法などの困難な課題があったが、FDAはこれに対処しタイムリーな開発と承認を促すため、業界向けガイダンスやpre-ANDAプログラムなどを通じて、開発プロセスの早い段階で複雑なジェネリック医薬品の開発を支援したとしている。
これらの取り組みにより、製薬会社によるジェネリック医薬品の開発の実現性が高まった。FDAが今回承認したのは、米国のHikma Pharmaceuticals社のジェネリックのリラグルチドだ。
なお、GLP-1受容体作動薬の臨床試験で報告されたもっとも一般的な副作用として、吐き気、下痢、嘔吐、食欲減退、消化不良、便秘などを挙げている。
承認されたジェネリック医薬品の医療従事者と患者に対する処方情報には、甲状腺髄様がん(甲状腺C細胞腫瘍)の潜在的リスクがあるという警告が含まれている。そのため、甲状腺髄様がんの既往のある患者や、または家族に甲状腺髄様がんの既往のある患者がいる場合、リラグルチドの安全性は確立されていないと注意を促している。また、内分泌臓器および非内分泌臓器に腫瘍が多発する多発性内分泌腫瘍症2型のある患者への投与も安全性は確立されていないとしている。
さらに、リラグルチドあるいは製品成分のいずれかに対して、以前に重篤な過敏症反応を起こしたことがある患者への投与も禁忌としている。
インスリン製剤やスルホニル尿素(SU)薬などと併用する場合は、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、定期的な血糖測定を行い、必要に応じてこれらの薬剤の減量を検討することを指示している。腎機能障害、腎不全、過敏症、胆嚢炎に関する警告も記載されている。
「ジェネリック医薬品の開発に関連する課題に対処し、ジェネリック医薬品の利用を促進するFDAの取り組みは、医薬品促進行動計画と、患者の医薬品へのアクセスを改善するものとして重要だ」と、Murphy氏は述べている。
米国でGLP-1受容体作動薬が不足医薬品に
FDA Approves First Generic of Once-Daily GLP-1 Injection to Lower Blood Sugar in Patients with Type 2 Diabetes (米国食品医薬品局 2024年12月23日)
FDA’s Concerns with Unapproved GLP-1 Drugs Used for Weight Loss (米国食品医薬品局 2024年12月18日)