「糖尿病標準診療マニュアル2022(一般診療所・クリニック向け)」を公開 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会
>> 「糖尿病標準診療マニュアル2022」(第18版)を公開(2022年4月1日)
EBM手法による実践的なマニュアル 糖尿病の治療の流れを、ステップ1~5の段階に分けて提示
「糖尿病標準診療マニュアル」(一般診療所・クリニック向け)は、2010年に初版が公開され、それ以降ほぼ1年ごとに改訂が行われ、今回が第18版となる。一般クリニック・診療所での包括的2型糖尿病管理を念頭に、循環型地域診療連携推進も目指した内容になっている。
治療目標については、絶対的な目標値ではなく、個々の症例で適切な値を設定することを重視し、具体的な基準を示している。糖尿病の治療の流れについて、ステップ1からステップ5の段階に分けて提示。薬剤選択について、現時点での血管合併症・低血糖に関するエビデンスの量と質に優れる薬剤を優先し具体的に示している。
さらに、SGLT2阻害薬について「心血管疾患の既往、心不全、微量アルブミン尿・蛋白尿を有する場合は積極的に投与開始してよい」ことが付記された。SGLT2阻害薬に関しては、心血管疾患だけでなく心不全や腎臓病のアウトカム改善も報告されている。
同マニュアルは、「糖尿病治療のエッセンス」(日本糖尿病対策推進会議)、「糖尿病治療ガイド」(日本糖尿病学会)、「糖尿病診療ガイドライン」(日本糖尿病学会)との併用を推奨するもので、それらへの橋渡しとなることを目的としている。
また、同マニュアルは個々の臨床状況での理論・経験にもとづく医師の判断を拘束したり特定の方向付けを強制したりするものでなく、参考となる診療補助情報として活用されるべきものとしている。
EBM手法による実践的なマニュアルはケアの標準化・診療の均てん化に役立つ
同マニュアルでは「EBM手法による実践的なマニュアルは学会ガイドラインを実地診療に導入する際の診療実用書としてケアの標準化・診療の均てん化に役立つ」としている。
また、糖尿病による合併症を予防するために、生涯を通じての適切な管理・治療および自己管理の教育・支援が重要であり、そのためには、かかりつけ医と糖尿病専門医および糖尿病療養指導士(看護師・管理栄養士・臨床検査技師・薬剤師・理学療法士)などとの連携によるチーム医療の継続が必要とされる。
「実践的なマニュアルの利用は一般医─専門医の連携と同様な意味をもつ。そしてそれらを通じて得られた方針を個別化しチーム医療・地域連携パスの下で各患者のニーズに合わせていくことの有効性が実証されている。医師は質の高いエビデンスを選択し、患者の意向と状況を加味して、治療方針を個別化することが望ましい」としている。
糖尿病標準診療マニュアル2022(一般診療所・クリニック向け)」(第18版)
作成:一般社団法人日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会 糖尿病標準診療マニュアル作成委員会
公開日:2022年4月1日(本版の使用は2023年3月31日までとする)
※2016年までは、国立国際医療研究センターによるマニュアルとして作成された(初版公開日:2010年3月11日)。
一般社団法人 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会
>> 「糖尿病標準診療マニュアル2022」(第18版)を公開(2022年4月1日)