食品摂取量の推定に役立つ食品画像データベースを構築 食品摂取量の推定をより簡便に 東京大
日本人が日常的によく食べる食品の種類と量を示した画像データベース
東京大学は、日本人成人の詳細な食事記録データをもとに、日本人が日常的によく食べる食品の種類と量を示した画像データベースを構築した。
海外では食品摂取量の推定に食品の画像が広く使われているが、日本では食事摂取データにもとづいて作られた網羅的な食品画像データベースはなかった。
研究では、日本人成人男女644人による計5,512日分の食事記録データを解析して、日本人がよく食べる209品目の食品と料理について、1回の食事における摂取量や、食品の種類のバリエーションを幅広く示した食品画像データベースを構築した。
これは日本人の食事摂取状況にもとづいて構築された日本ではじめての網羅的な食品画像データベースであり、今後様々な食事調査法と組み合わせて、食品の摂取量の推定に寄与することが期待されるとしている。
研究は、東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野の篠崎奈々客員研究員、村上健太郎助教、佐々木敏教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」にオンライン掲載された。
コップ、グラス、計量スプーンなども撮影
画像データベースを使えば食品摂取量の推定をより簡便に行えるようになる
食品の摂取量を知るための確実な方法は食品を計量することだが、飲食するすべての食品の重量を量るのは被調査者の負担が大きいため、大規模な食事調査で実施するのは困難だ。
海外では、食品の摂取量の推定に食品の画像が広く使われている。たとえば、食品を少なく盛り付けたものから、多く盛り付けたものまで複数の写真を示し、そのなかから実際に食べた食品の量にもっとも近い写真を選択することで、食品の量を推定することができる。画像データを用いた摂取量推定は、被調査者の負担が小さく、調査者にとっても使いやすいというメリットがある。
そこで研究グループは、詳細な食事調査のデータにもとづき、日本人の食品摂取量の推定に役立つ画像データベースを構築した。各食品を、「連続写真」または「ガイド写真」として撮影した。
連続写真では、カレーライスやパスタなど、形や量が決まっていない食品や料理の分量が徐々に増えていく様子を連続的な写真で表現した。また、ガイド写真は、バナナやクッキー、ドーナツなど、形や量がある程度定まっている食品と料理の分量や種類のバリエーションを、1枚の写真であらわした。
さらに、飲料や調味料の分量を推定するための写真として、コップ、グラス、計量スプーンなども撮影した。各食品の重量は、スーパーマーケットで売られているさまざまな商品の調査や、食事記録データから算出した各食品の摂取重量にもとづいて決定した。
写真撮影は、プロの料理写真家による技術指導を受けたのち行った。食品や料理の量や皿の大きさを認識しやすくするために、箸やナイフ、フォーク、スプーンなどから各食品や料理に合うものを1~2個選んで、一緒に写真に収めた。
結果として、209品目の食品と料理の写真をデータベースに含めることとなった。このうち105品目は連続写真であり、104品目はガイド写真。連続写真では基本的に、それぞれの食品や料理の分量を、少ないものから多いものまで7段階で示した。ガイド写真では、1枚の写真のなかに2~19(平均5.3個)の食品を示した。
プロテインバーやエナジーバーなど、食事記録における登場頻度は低いものの、近年人気が高まっている食品も撮影した。また、コップやスプーンなど12種類の食器の写真も収載した。マグカップやグラスには、液量の選択肢として7本の線を追加した。
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野
Development of a digital photographic food atlas as a portion size estimation aid in Japan (Nutrients 2022年5月26日)