GLP-1受容体作動薬によるHbA1c・体重への効果は3年後も維持 2万人超のリアルワールドデータを検証
週1回投与型GLP-1RAであるセマグルチドの血糖降下作用や減量効果は、既に無作為化比較試験(RCT)によって確認されているが、長期にわたる有効性は、大規模なリアルワールドデータでの検証が必要とされる。Melzer-Cohen氏らは、最長3年間、セマグルチドによる治療を受けた患者のデータを用いてこの点を検討した。
解析対象は、セマグルチド皮下注による治療を開始した成人の糖尿病患者2万3,442人。主な特徴は、平均年齢62.2±10.6歳、女性49.1%、体重94.1±17.6kg、BMI33.7±5.5、HbA1c7.6±1.5%。セマグルチドによる治療を開始する前に、29.8%の患者はインスリンで治療され、30.7%は他のGLP-1RAで治療されていた。治療期間の中央値は、18.0カ月(95%信頼区間17.7~18.3)だった。
ITT解析では、HbA1cは0.77±1.27%低下して6.82±1.26%となり、体重は4.7±5.7kg低下して89.7±17.4kgとなっていた(いずれもP<0.001)。セマグルチドによる治療開始以前に他のGLP-1RAによる治療を受けていなかった群の方が、それらの低下幅が有意に大きかった〔HbA1cは-0.87±1.29対-0.54±1.19%、体重は-5.51±5.95対-3.01±4.68kg(いずれもP<0.001)〕。なお、per protocol解析でも、HbA1c、体重に対する影響は有意であり、3年間にわたり改善が維持されていた。
治療開始後6カ月以内のPDCは、75%の患者で60%以上に達しており、PDC80%以上の患者も55%存在していた。PDC60%以上/未満に二分して比較すると、HbA1c、体重ともに60%以上の群の方が大きく改善しており、群間に有意差が認められた(いずれもP<0.001)。
共同発表者の1人であり、同じくマカビ・ヘルスサービスに所属しているAvraham Karasik氏は、「本研究では大規模なリアルワールドデータを用いることで、薬剤使用のアドヒアランスとHbA1cおよび体重への持続的な効果を同時に評価し得た。解析結果はRCTの結果と一致しており、週1回のセマグルチド投与の長期間にわたる安定したメリットが示された」と総括している。
なお、本研究は、セマグルチドのメーカーであるノボノルディスク社の資金提供を受けて行われた。また、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。
[HealthDay News 2023年10月4日]
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