GLP-1受容体作動薬の処方がぶどう膜炎発症リスク低下と関連

2025.09.22
GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の処方が、非感染性ぶどう膜炎の発症リスクの低さと関連しているとする研究結果が報告された。米クリーブランド・クリニック、コール眼研究所のNitesh Mohan氏らによる研究であり、論文が「JAMA Ophthalmology」に8月28日掲載された。

 ぶどう膜炎は発症後の病勢管理が困難なことがあり、視力喪失にもつながり得ることから、発症リスク抑止戦略が模索されている。一方、GLP-1RAは血糖降下作用や肥満改善作用に加えて、抗炎症作用を持つことが示唆されており、非感染性ぶどう膜炎に対する潜在的な保護効果を有する可能性がある。ただしこれまでのところ、そのような視点で行われた研究は少ない。

 この研究は、2006~2025年の電子健康記録(EHR)ネットワークデータを用いた後ろ向きコホート研究として行われた。人口統計学的特性、BMI、喫煙状況、HbA1c、高血圧、糖尿病網膜症の病期を傾向スコアによりマッチングさせた、GLP-1RA処方群(平均年齢56.4±13.7歳、女性61.6%)、非処方群(56.4±14.0歳、女性61.8%)、各群25万8,026人のデータセットを作成。非感染性ぶどう膜炎の発症を診断コードに基づき判定し、GLP-1RAの処方の有無で発症リスクを比較した。

 解析の結果、GLP-1RA処方群は非処方群に比較し、非感染性ぶどう膜炎の発症リスク低下が認められた(相対リスク〔RR〕0.48〔95%信頼区間0.46~0.51〕)。この結果は、解析対象を2型糖尿病患者のみ(RR0.54〔同0.51~0.58〕)、または非糖尿病患者のみ(RR0.52〔0.46~0.59〕)とした場合も同様であった。

 また、GLP-1RA処方群は、メトホルミン処方群との比較(RR0.58〔0.54~0.62〕)、およびインスリン処方群との比較(RR0.57〔0.54~0.61〕)でも有意な発症リスク低下が認められた。一方で、SGLT2阻害薬(SGLT2-i)処方群との比較では、わずかなリスク上昇が観察された(RR1.17〔1.04~1.32〕)。なお、SGLT2-i処方群は同薬の非処方群に対しても、発症リスクが有意に低かった(RR0.52〔0.48~0.56〕)。

 論文の上席著者である同研究所のSumit Sharma氏は、「われわれの研究結果は、非感染性ぶどう膜炎という自己免疫疾患に対するGLP-1RAの予防効果を見いだした初の研究であり、非常に意義深い知見と言える。同薬が肥満改善や糖尿病のコントロールにとどまらずに、さらなるメリットをもたらし得ることが示された」と語っている。

 なお、数人の著者が医薬品・医療機器関連企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

(HealthDay News 2025年9月2日)

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