「フィアスプ注 インスリンポンプでの適正使用」を呼びかけ 「37℃を超える高温を避ける」など ノボ ノルディスク

2023.02.22
 ノボ ノルディスク ファーマは2023年2月に、「フィアスプ®注 インスリンポンプでの適正使用のお願い(続報)」を公表した。情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のサイトでも公開されている。

 日本国内で「フィアスプ注」使用時に、インスリンポンプにセットされた注射液にゲル化がみられ、高血糖にいたった事例が報告されたのを受け、対応したもの。

 物理的安定性試験の結果から、インスリンポンプでの使用時に、温度の上昇が加わり、機械的振動に相当するストレスが加わった場合、ゲル化が生じる可能性が考えられるという。

 同社では、「インスリンポンプに充填して使用する際は、37℃を超える高温を避けるよう指導してください」などと注意喚起している。

インスリンポンプに充填して使用する際は、37℃を超える高温を避ける

 ノボ ノルディスク ファーマは2023年2月に、「フィアスプ®注 インスリンポンプでの適正使用のお願い(続報)」を公表した。情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のサイトでも公開されている。

 超速効型インスリンアナログ製剤である「フィアスプ注100単位/mL」は、持続皮下インスリン注入(CSII)で使用可能な製剤。

 日本国内でフィアスプ注使用時に、インスリンポンプにセットされた注射液にゲル化がみられ、重篤な高血糖にいたった事例が1例報告されたため、同社は2022年3月に、「フィアスプ注 インスリンポンプでの適正使用のお願い」の注意喚起を行った。

 これ以降、同年12月31日までに、国内で「フィアスプ注バイアル製剤」の注射液にゲル化がみられたという事例は2例(いずれも高血糖発現あり(非重篤))報告された。

 そこで同社は今回、ゲル化について原因調査した結果と、フィアスプ注投与時の注意点について、あらためて公開を開始した。

 ゲル化については、これまで機械的攪拌や37℃以上の温度でインスリンのゲル化がみられるという報告、ポンプ使用下でインスリンのゲル化がみられたという報告があるため、ゲル化の原因究明を目的に、フィアスプ注の物理的安定性試験を行ったという。

 物理的安定性試験の結果から、インスリンポンプでの使用時に、温度の上昇が加わり、機械的振動に相当するストレスが加わった場合、ゲル化が生じる可能性が考えられるという。

 また、リザーバーに充填されたフィアスプ注は6日以内であれば安定であることも確認されている。

 ノボ ノルディスク ファーマは、「フィアスプ注100単位/mL」について、「ゲル化が生じると、ポンプ内に閉塞が生じ、適切に投与が行われず、重篤な高血糖関連事象をきたす可能性がありますので、フィアスプ注をインスリンポンプで使用する場合は、下記の点について十分注意してください」と、注意を促している。
  1. インスリンポンプに充填して使用する際は、37℃を超える高温を避けるよう(例:ポンプを暖房器具、カイロなどの熱源に近づけないなど)指導してください。
  1. インスリンポンプのリザーバーに充填されたインスリンは6日以内、またはポンプの取扱説明書に従って、いずれか短い方の期間で交換するように指導してください。
  1. インスリンポンプの動作状況および患者自身の血糖コントロール状況を確認するように指導してください。
  1. インスリンポンプ内の注射液中に変化(付着物、浮遊物など)がみられた場合は、ポンプの部品(リザーバーまたはチューブ)を交換し、これまで使用していたフィアスプ注バイアル製剤は使用せず新しいフィアスプ注バイアル製剤に変更するように指導してください。また、適切に動作しない場合に備え、他のインスリン注射手段(ペン型インスリン注入器製剤など)を携帯するように指導してください。
  1. フィアスプ注ペンフィルおよびフィアスプ注フレックスタッチは、インスリンポンプでは使用できません。患者に対してペンフィルおよびフレックスタッチに充填された注射液をシリンジで抜き取らないように指導してください。

 詳細は、同社が公開している下記の医療従事者向けサイトに掲載されている。

ノボ ノルディスク プロ (医療従事者向けサイト)

 「フィアスプ注」をインスリンポンプで使用中の患者や家族に対しても情報を公開している。

医薬品医療機器総合機構

関連情報 「フィアスプ注」の適正使用を呼びかけ インスリンポンプで使用時にゲル化 重篤な高血糖の事例が報告 (糖尿病リソースガイド 2022年3月31日)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料