日本眼科学会「糖尿病網膜症診療ガイドライン」第1版を公開 内科と眼科の連携、適切な診断と治療介入を啓発
日本眼科学会はこのほど、日本糖尿病眼学会診療ガイドライン委員会作成の「糖尿病網膜症診療ガイドライン」第1版のWeb公開を始めた。糖尿病網膜症に関する、現時点で有効であると推奨できる診療指針を、糖尿病網膜症の診療に携わる医療従事者に示している。糖尿病網膜症の病因と疫学、リスク因子、分類、診断、治療、全身管理と眼科受診などについて解説。
内科医と眼科医の連携、速やかな眼科受診と定期検査を啓発
「糖尿病網膜症診療ガイドライン」は8章構成で、糖尿病網膜症の病因と疫学、リスク因子、分類、診断、治療、全身管理と眼科受診などについて解説している。
同ガイドラインでは、糖尿病網膜症の診療における目標は、「視機能障害を予防し、障害された視機能を可能なかぎり回復させること」として、「検査結果に基づく早期の糖尿病網膜症の診断と、適切な時期における治療介入が不可欠」と示している。糖尿病があれば視力障害のリスクがあるという疫学調査の結果を糖尿病患者に啓発することも重要としている。
第4章「糖尿病網膜症の重症度分類」では、臨床所見に基づいた国際重症度分類と、比較的使用頻度の高いDavis分類、日本固有の新福田分類の対応の目安を表で提示。
また、第6章「糖尿病網膜症の全身管理と眼科受診」では、糖尿病と診断されたら必ず眼科受診が必要であることを示し、推奨される眼科診察間隔として糖尿病(網膜症なし)は1回/1年、単純糖尿病網膜症は1回/6ヵ月、増殖前糖尿病網膜症は1回/2ヵ月、増殖糖尿病網膜症は1回/1ヵ月などと表で示した。高血糖状態が続く場合には、糖尿病網膜症なしであってもより密な診察間隔も検討するよう注意を促している。
第7章「糖尿病網膜症の治療」では、病期分類に準じた治療について詳述しており、抗VEGF療法、直接/格子状網膜光凝固、ステロイド療法、網膜硝子体手術、汎網膜光凝固などを示している。