GLP-1受容体作動薬による自由診療 美容・ダイエットが目的の適用外使用への監視を強化する方針 厚生省
GLP-1受容体作動薬を美容・痩身・ダイエット目的で使用する自由診療
厚生労働省の第13回医薬品等行政評価・監視委員会が9月20日に開かれ、GLP-1受容体作動薬の適用外使用について、規制強化を求める意見が出された。美容・ダイエットが目的の自由診療について、ウェブサイトの監視指導体制を強化する必要があるなどとした。
2型糖尿病治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬については、適用外で美容・痩身・ダイエット目的で使用する美容医療サービスの自由診療が行われており、インターネットで「GLP1ダイエット」などと情報が公開されている。
厚労省はこうした状況について、「医療法では、医師などに対しては、患者への説明と理解(インフォームド・コンセント)が求めてられている」として、「患者が安全性や有効性について理解したうえで受診することが重要」と指摘している。
そのうえで、▼施術の有効性および安全性に係る説明にあたっては、効果の程度には個人差がある旨を直接丁寧に説明しなければならない、▼即日施術の強要は厳に慎まなければならない、▼費用や解約条件について施術前に丁寧に説明しなければならないとして、都道府県に通知し周知や遵守を依頼している。
さらに、2018年の改正医療法施行後の医療法での広告規制の改正施行後の現状をふまえ、全国一律の基準で運用できるよう監視指導体制を強化する方針を掲げている。
GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)がインターネットで、日本糖尿病学会の「不適切な薬物療法によって患者さんの健康を脅かす危険を常に念頭におき、誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況をふまえた薬剤の適正な処方を行ってください」といった見解を公開するなど、適正使用に係る注意喚起を行っている。
製造販売業者も「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ」を公開している。
自由診療を提供する医療サイトを適正化し消費者トラブルを減少
こうした背景として、医療機関のホームページに起因する美容医療サービスに関する消費者トラブルが発生し続けていることを挙げている。厚労省は2017年よりネットパトロールを実施している。
ウェブサイトの監視指導体制の強化による期待される効果として、自由診療を提供する医療機関などのウェブサイトの適正化につなげ、消費者トラブルを減少することを挙げている。
なお、医療について医療法による規制にふれているが、「患者が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要がある」とも述べている。
患者や国民に対しては、インフォームド・コンセントの観点からのチェックシートを、消費者庁と合同で作成し、患者から医療従事者などに、理解できるまで追加の説明を求めるなどの対応を促している。
第13回医薬品等行政評価・監視委員会資料 (厚生労働省 2023年9月20日)
GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解 (医薬品医療機器総合機構)
GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ (医薬品医療機器総合機構)