千葉市・千葉大学・ノボ ノルディスクが連携協定 肥満と肥満症対策を推進 肥満症は相談できる疾患

2024.10.16
 千葉市、千葉大学、ノボ ノルディスク ファーマの3者は、肥満および肥満症対策を推進するための環境を整備し、同市でより健康な社会を実現することを目的とした連携協定を締結した。

 同市は協定により、官民学連携を通じて、肥満および肥満症対策を推進するための環境を整備し、より健康な社会を実現するモデル都市になることを目指す。

 ノボ ノルディスク ファーマが47都道府県の20~75歳の男女を対象に実施した調査では、60代以上では、肥満症の疑いがある自覚が低く、自身の肥満について医師への相談意向が低い傾向が示された。

肥満および肥満症対策を推進する環境を整備しモデル都市を目指す

 千葉市、千葉大学、ノボ ノルディスク ファーマの3者は、肥満および肥満症対策を推進するための環境を整備し、同市でより健康な社会を実現することを目的とした連携協定を締結した。

 同市は協定により、官民学連携を通じて、肥満および肥満症対策を推進するための環境を整備し、より健康な社会を実現するモデル都市になることを目指すとしている。

 同市には、「適正体重を維持するための食事量の摂取や運動習慣を身につけること」「健診受診率の向上」などの課題がある。

 2023年3月に作成した「健やか未来都市ちばプラン」(2013~2023度)の最終評価では、肥満傾向にある子供・成人の肥満者・高血圧・脂質異常症・メタボリックシンドローム該当者・特定健診の実施率などに関する指標の改善がみられなかった。

 新たな基本計画(2023〜2032年年度)では、▼特定健康診査・特定保健指導の推進、▼パーソナルヘルスレコードを活用した健康施策の推進、▼食育の推進などを位置付け、▼生活習慣の改善、▼生活習慣病の発症・重症化予防、▼環境づくりの推進などに取り組んでいる。

肥満症に対する認識不足や誤解によるスティグマを解消

 肥満があり、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患が「肥満症」だが、その認知度が低く、肥満に対する認識不足や誤解によるスティグマ(差別・偏見)がある。

 千葉大学は協定により、実態調査・研究などのさまざまな取り組みを通じて、肥満症での医療連携体制を構築するとともに、予防にも取り組み、肥満症を取り巻く環境の改善と市民の健康に寄与するとしている。

 ノボ ノルディスクは、「変革を推進し深刻な慢性疾患を克服する」ことをパーパスとしており、その目的達成に向け、科学的革新を見出し、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、病気の予防ならびに最終的には根治を目指して取り組むとしている。

 協定を通して、肥満症を取り巻く環境整備を全面的に支援し、取り組みの好事例を積極的に日本国内のみならず、世界へと発信し、普及を促進する。

 協定の「子供の健康応援に関する事項」の取り組みのひとつは、同社がグローバルで展開する官民パートナーシッププログラム「まちが元気を創り出す 子供の健康応援イニシアティブ~Cities for Better Health Childhood Obesity Prevention Initiative~」の一環として行う。

肥満症の認知率は50代以降で9.6%
肥満症は医師に相談できる疾患であるという認知を広げたい

 2022年国民健康・栄養調査によると、日本国内の20歳以上の肥満者の割合は男性31.7%、女性21.0%で、肥満は生活習慣病などさまざまな疾患の主要リスクとなっている。

 そこでノボ ノルディスク ファーマは、47都道府県の20~75歳の男女9,400人を対象に、「肥満」と「肥満症」に関する意識実態調査を実施した。調査は、「肥満」あるいは「肥満症」の疑いがあるBMIが25以上の男女を対象に、インターネットで実施した。

 それによると、肥満症の認知率は、全体では8.7%(前年比+0.4ポイント)、50代以降では9.6%(前年比+0.6ポイント)、肥満症の疑いのある人では10.8%(前年比+0.6ポイント)となり、認知が徐々に広まっているものの十分ではない実態が示された。

 とくに高年層(60代以上)は、肥満症という病気を認知しているにもかかわらず、肥満症の疑いがある自覚が低く、自身の肥満について医師への相談意向が低い傾向が示された。その理由は、「肥満は自己責任だと思うから」という回答が多かった(高年層43.8%、若年層36.5%)。

 医師への相談意向は、肥満症の自覚がある人では40.0%、自覚のない人では24.5%で、自身が肥満症であるという自覚があっても、肥満症についての情報検索行動を行ったことのない人が半数近くいることも示された。

 「自身の減量に関して医師に相談をした人の方が、相談をしなかった人よりも効果を感じ、さらに減量への継続意思も高い傾向にあることも判明した。肥満症治療の専門施設があることや、肥満症は医師に相談ができる疾患であるという認知をより広げていき、治療によって減量効果だけではなく患者さんのQOLの改善を目指すことができるというメッセージを強く発信する必要がある」と、同社では述べている。

肥満症を知る (ノボ ノルディスク ファーマ)
肥満症 (ノボ ノルディスク プロ 医療従事者向けサイト)
Cities for Better Health (ノボ ノルディスク)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

SGLT2阻害薬を高齢者でどう使うか 週1回注射のインスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防
糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病性腎症患者に対する療養支援 持続可能な糖尿病運動療法 苦労しています、服薬指導-短時間で患者の心を掴み、リスク回避! 進化する1型糖尿病診療 多職種連携による肥満治療
糖尿病と歯周病の最新エビデンス 甲状腺結節の日常臨床での取り扱い 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術の最新エビデンス- 骨粗鬆症 脂質異常症 コレステロール低下薬 がんと糖尿病
インスリンの種類と使い方 糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント[経口薬] インスリンポンプ・持続血糖測定器 血糖推移をみる際のポイント
糖代謝の調節機構 脂質の代謝 リン酸化によるシグナル伝達 タンパク質とアミノ酸の代謝

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料