「眩しくない眼底カメラ」の実用機を開発 近赤外光を光源に使用 大阪大学病院などで実用機を用いた検証を開始
2021.01.27
奈良先端科学技術大学院大学とナノルクスは、撮影時に近赤外光を光源とし、可視光域の照明光を必要としない「眩しくない眼底カメラ」の実用機の開発に成功した。
この眼底カメラは、近赤外光のみでフラッシュ光を用いないため、従来の眼底カメラよりもさらに侵襲が低く、安全性が高まり、無散瞳で眼球の血管を含む構造の広範囲・詳細な観察を行うことができるとしている。
大阪大学医学部附属病院などで昨年10月より、実用機を用いた検証を実施している。
この眼底カメラは、近赤外光のみでフラッシュ光を用いないため、従来の眼底カメラよりもさらに侵襲が低く、安全性が高まり、無散瞳で眼球の血管を含む構造の広範囲・詳細な観察を行うことができるとしている。
大阪大学医学部附属病院などで昨年10月より、実用機を用いた検証を実施している。
フラッシュ光を使わず、近赤外光のみで眼底撮影
奈良先端科学技術大学院大学とナノルクスは、撮影時に近赤外光を光源とし、可視光域の照明光を必要としない「眩しくない眼底カメラ」の実用機の開発に成功した。 さらに、ナノルクスと共同研究を行う大阪大学大学院医学系研究科眼科学(西田幸二教授)および大阪大学医学部附属病院AI医療センター(川崎良特任教授(常勤))での検証を開始した。検証期間は2020年10月~2021年3月。 通常の眼底カメラは、可視光のフラッシュを用いて眼底を撮影するため、とても眩しく、無散瞳では1回目の撮影で縮瞳するのでそれ以降の繰り返し撮影が困難であることや小児での撮影が困難であるなどの制限があった。 新たに開発した眼底カメラは、近赤外光のみで、フラッシュ光を用いないため、従来の眼底カメラよりもさらに侵襲が低く、安全性が高まり、無散瞳で眼球の血管を含む構造の広範囲・詳細な観察を行うことができる。 さらに、眼底映像を簡易に患者の負担を小さく撮影できるようにすることで、眼底撮影がより容易になり、眼疾患のみならず、高血圧などの生活習慣病の早期発見にも寄与することが期待される。 研究は、奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科 物質創成科学領域 光機能素子科学研究室の太田淳教授らによるもの。出典:奈良先端科学技術大学院大学、2020年
近赤外光眼底カメラによる低侵襲の検査
ナノルクスは、茨城県つくば市で創業された、産総研技術移転ベンチャー。暗闇でも近赤外線のみで撮影を可能にする「近赤外線カラー暗視技術」の商用利用を促進している。 その用途は、防犯カメラ、車載カメラ、医療カメラなど多岐にわたる。これまでのカメラ製品の構造をほとんど変える必要がなく、導入コストを最小限に抑えることができるとしている。 今回開発した「眩しくない眼底カメラ」では、ナノルクスの近赤外線カラー眼底カメラNLX-FD001に、近赤外線照明と一体化した円筒レンズを組み合わせることで、小型化と高操作性を実現した。 また、阪大病院での検証は、近赤外光眼底カメラを用いて正常者および実患者で主要な解剖学的部位と異常所見の撮影を行い、医師の使用感などを確認することを目的とし、近赤外光眼底カメラにより低侵襲に検査できることが示されれれば、極めて臨床的意義が高いとしている。 なお、これまで10件を超える病院現場での撮影を行い、実用動作の上で支障ないことが確認できている。この眼底カメラ開発は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業ACCEL(JPMJAC1601)の支援を得て進められている。出典:奈良先端科学技術大学院大学、2020年
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科光機能素子科学研究室
ナノルクス
大阪大学大学院医学系研究科眼科学
大阪大学医学部附属病院AI医療センター
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]