SGLT2阻害薬「フォシーガ」が心不全治療薬として欧州医薬品委員会より承認勧告 2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した心不全に適応
2020.10.28
アストラゼネカは、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン)が、2型糖尿病合併の有無を問わない、左室駆出率低下を伴う成人の症候性慢性心不全の治療薬として、欧州での製造販売承認の適応拡大が推奨されたと発表した。
これは、欧州医薬品庁の医薬品委員会が、「The New England Journal of Medicine」に掲載されたDAPA-HF第3相試験の結果にもとづき、今回の肯定的な見解を示したもの。
承認された場合、フォシーガは、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した心不全に適応をもつ、最初のSGLT2阻害剤になる。
これは、欧州医薬品庁の医薬品委員会が、「The New England Journal of Medicine」に掲載されたDAPA-HF第3相試験の結果にもとづき、今回の肯定的な見解を示したもの。
承認された場合、フォシーガは、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した心不全に適応をもつ、最初のSGLT2阻害剤になる。
左室駆出率が低下した心不全患者に対して効果
「フォシーガ」は、心血管死または心不全の悪化(心不全による入院を含む)が、プラセボと比較して統計的に有意に低下したことを示した最初のSGLT2阻害薬となる。 心不全には、収縮ごとに送り出される血液量を心臓が拡張したときの左室容積で割った割合を指標とした左室駆出率に関する2つのカテゴリー、つまり「左室駆出率が低下した心不全」(HFrEF)と、「左室駆出率が保持された心不全」(HFpEF)がある。HFrEFは左室筋が十分に収縮することができず、体内に酸素を十分に含んだ血液を送り出すことができなくなることによって生じる。 DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した(LVEF40%以下)心不全患者4,744例を対象に、「フォシーガ」(10mg、1日1回)を心不全の標準治療に追加投与した場合の効果を、プラセボと比較評価した国際多施設共同並行群間無作為化二重盲検比較試験。主要複合評価項目は、入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管疾患を原因とする死亡。追跡期間中央値は18.2ヵ月だった。 DAPA-HF第3相試験で、「フォシーガ」は、標準治療への追加投与で、心血管死または心不全悪化による複合アウトカムを、プラセボに対して26%低下させた(HR 0.74[95%信頼区間(CI)0.65-0.85]、p<0.0001)(ARR=4.9%[16.3% 対21.2%、それぞれイベントのあった患者の割合])。試験期間中、「フォシーガ」投与群では、患者21例ごとに、1件の心血管死または心不全による入院/緊急受診を回避した。 同試験では、主要複合評価項目の構成項目である心血管死および心不全の悪化の両方が、全体的なリスク低下に貢献したことが示された。DAPA-HF第3相試験における「フォシーガ」の安全性プロファイルは、本剤の過去の安全性プロファイルと一致していた。 なお、「フォシーガ」は、米国食品医薬品局および世界中のいくつかの国で、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認されている。 「左室駆出率が低下した心不全患者に対して効果があり、安全かつ簡便に使用できる新たな治療を間もなく手に入れられることを嬉しく思います。ダパグリフロジンは、欧州および世界中でこの深刻な病気に苦しむ何百万人もの人々の生活の質だけでなく、同様に重要なことである、生命予後を改善する可能性をもつ、大きな、喜ばしいブレークスルーです」と、英国グラスゴー大学循環器医学研究所心臓血管研究センターのJohn McMurray氏は述べている。 「心不全は診断後5年以内に半数以上の方が死亡すると推定されており、新たな治療へのアンメットニーズは依然として高い状況です。症状の改善に加えて、心血管死や入院を減少させる新たな治療選択肢が緊急に必要とされています」と、同社では述べている。 「フォシーガ」は心臓、腎臓、膵臓の基本的な関連性をさらに明らかにするという科学としての心腎保護効果を発展させている。同試験は、「フォシーガ」の心血管および腎に対する効果を評価する"DapaCare"という臨床プログラムの一部で、このプログラムは2型糖尿病患者の心不全による入院および心血管リスク因子への「フォシーガ」の効果を初めて評価したDECLARE-TIMI 58試験を含んでいる。 このプログラムではまた、DAPA-CKD第3相試験において慢性腎臓病患者の治療を検証している。さらに、DELIVER第3相試験において左室駆出率が維持された心不全患者の治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出ると見込まれている。 なお、日本における、「フォシーガ」の承認された適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」であり、左室駆出率が低下した心不全、慢性腎臓病、および左室駆出率が維持された心不全に対する適応は取得していない。 フォシーガ錠5mg フォシーガ錠10mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]