米国のコレステロール管理ガイドラインが改訂 糖尿病治療に「個別化」と「全体的アプローチ」を求める

2018.11.29
 米国心臓学会(AHA)の「コレステロール管理ガイドライン」が改訂され、11月にシカゴで開催されたAHA2018で発表された。

40~75歳の2型糖尿病では1次予防としてスタチン治療を推奨

 2018年版「コレステロール管理ガイドライン(Guideline on the Management of Blood Cholesterol)」の改訂ポイントは、▼コレステロール値の管理が難しい高リスク患者に対しては、スタチン系薬に加えてエゼチミブやPCSK9阻害薬などのコレステロール低下薬の併用も考慮すること、▼CTによる動脈硬化の評価など精緻な心疾患リスク評価を行うことなど。

 動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の2次予防の治療アルゴリズムも見直され、主要なASCVDイベントである「過去1年以内の急性冠症候群(ACS)」「心筋梗塞の既往」「虚血性脳卒中の既往」「症候性末梢動脈疾患」が複数認められる場合などには、最大用量のスタチン系薬で治療し、それでもLDLコレステロール(LDL-C)が70mg/dL以上であればエゼチミブなどの追加も考慮することが付け加えられた。

 年齢40~75歳の2型糖尿病では、ASCVDの1次予防として、まず中強度スタチンを推奨し、リスク評価によってスタチン治療の強化を考慮することを推奨している。

 また、家族歴、慢性腎臓病、メタボリックシンドロームなどを、動脈硬化のリスクを増強する因子として定め、食事や運動、血圧、コレステロールなどが互いに関連し合うことを指摘。糖尿病の管理に「全体的アプローチ(holistic approach)」が必要としている。

 医師には、コレステロール値の上昇がもたらすリスク因子について患者とよく話し合い、その患者のリスクに応じた個別治療を行うことを求めている。従来の喫煙習慣、高血圧、HbA1cなどに加え、家族歴、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病、慢性的な炎症性疾患、早期閉経、妊娠高血圧症候群などについても確認し、個別治療につなげることを推奨している。

2018 AHA/ACC/AACVPR/AAPA/ABC/ACPM/ADA/AGS/APhA/ASPC/NLA/PCNA Guideline on the Management of Blood Cholesterol: Executive Summary(AHA 2018年11月10日)
2018 ACC/AHA Multisociety Guideline on the Management of Blood Cholesterol(American College of Cardiology 2018年11月10日)
Guideline on the Management of Blood Cholesterol(American College of Cardiology)

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