GIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutide、HbA1c・体重・肥満関連合併症を有意に改善 第3相試験結果・ADA2026で報告

2026.07.02
米イーライリリーは6月6日、開発中のGIP、GLP-1、およびグルカゴンのトリプルアゴニストであるretatrutideについて、第3相臨床試験(TRIUMPH-1、TRANSCEND-T2D-1)の結果を発表した。本剤は、体重減少やHbA1cの低下に加え、変形性膝関節症の疼痛や閉塞性睡眠時無呼吸症候群など、肥満に関連する合併症に対しても臨床的に意義のある改善を示した。本結果は第86回米国糖尿病学会(ADA)学術集会で報告されたほか、TRANSCEND-T2D-1試験についてはLancetに同時掲載された。

 retatrutideは、週1回投与のトリプルアゴニスト製剤。単一の分子で、体内のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、およびグルカゴンの3つの受容体をすべて活性化する機序を持つ。

 2型糖尿病で食事・運動療法のみでは血糖コントロールが不十分な成人患者537例を対象としたTRANSCEND-T2D-1試験(40週間)では、主要評価項目およびすべての重要な副次評価項目を達成した。本試験は、過去90日間に糖尿病治療薬の投与を受けておらず、インスリン治療歴のない、HbA1cが7.0%から9.5%以下、BMIが23以上の患者を対象とした。患者はretatrutideの4mg、9mg、12mg、またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、投与は週1回2mgから開始し目標用量に達するまで4週ごとに段階的に増量された。

 retatrutide投与群では、ベースラインのHbA1c7.9%から最大2.0%の平均低下が認められた。最大90%の患者がHbA1c7.0%未満を達成し、最大85%が6.5%以下を達成した。さらに、最大46%の患者がHbA1c5.7%未満に到達している。体重減少についても、12mg投与群で平均36.6ポンド(16.6kg、-16.8%)の減少が認められ、40週時点でも体重減少のプラトーには達していなかった。

 肥満または過体重の成人を対象としたTRIUMPH-1試験(80週間)には、肥満を対象としたマスター試験と、変形性膝関節症の痛みおよび中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を対象とした2つのバスケット試験が含まれている。計2,339例がretatrutideの4mg、9mg、12mg、またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、TRANSCEND-T2D-1と同様の段階的増量プロトコルで実施された。

 80週時点での体重減少は、4mg群で平均47.2ポンド(21.4kg、-19.0%)、9mg群で平均64.4ポンド(29.2kg、-25.9%)、12mg群で平均70.3ポンド(31.9kg、-28.3%)であった。12mg投与群の65.3%がBMI30未満を、33.3%がBMI25未満を達成した。また、ベースラインのBMIが35以上で80週の試験を完了した患者を対象とした延長試験において、12mg投与を104週まで継続した群では、平均85.0ポンド(38.6kg、-30.3%)の体重減少が報告されている。

 また肥満関連合併症について、変形性膝関節症を有する患者では、ベースライン6.0であったWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)疼痛サブスケールスコアが最大4.3ポイント(-73.1%)減少した。中等症から重症のOSAを有する患者では、ベースライン58.6回/時であった無呼吸低呼吸指数(AHI)が最大36.1回/時(-60.6%)減少した。

 さらに両試験において、特定の心血管リスク因子の有意な改善がベースラインから認められた。TRIUMPH-1試験(80週時点)では、トリグリセリドが最大41.0%、非HDLコレステロールが24.2%、収縮期血圧が12.3mmHg、腹囲が9.5インチ(24.1cm)減少した。TRANSCEND-T2D-1試験(40週時点)においても、中性脂肪が最大39.6%、非HDLコレステロールが19.8%、収縮期血圧が6.4mmHg、腹囲が4.9インチ(12.4cm)減少した。

 安全性に関して、両試験で観察された有害事象の種類は、これまでのインクレチンベースの治療薬の試験と概ね一貫していた。TRIUMPH-1試験において最も一般的な有害事象は消化器症状であり、プラセボ群と比較してretatrutide群(4mg、9mg、12mg)で悪心(28.6%、38.4%、42.4%対14.8%)、下痢(25.2%、34.1%、32.0%対13.5%)、便秘(23.8%、25.9%、26.1%対10.9%)、嘔吐(10.6%、22.8%、25.3%対4.8%)、上気道感染(14.2%、12.2%、13.1%対11.6%)が高頻度で見られた。その他、感覚不全や尿路感染症の発生も観察された。これらの事象は概ね軽度から中等度であり、大部分は治療中に消失し、多くの患者が投与を継続した。有害事象による投与中止率は、プラセボ群の4.9%に対し、retatrutide群ではそれぞれ4.1%、6.9%、11.3%であった。

 TRANSCEND-T2D-1試験においても同様の傾向が示され、悪心や下痢、嘔吐が最も一般的な有害事象として報告されたほか、感覚不全や尿路感染症も観察された。有害事象による投与中止率はプラセボ群の0.0%に対し、retatrutide群ではそれぞれ2.2%、4.5%、5.1%であった。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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