慢性腎臓病における「ジャディアンス」の有効性を評価する「EMPA-KIDNEY」試験 オックスフォード大学と提携

2018.05.02
 独ベーリンガーインゲルハイムと米イーライリリー・アンド・カンパニーは、慢性腎臓病患者の腎および心血管イベントに対するSGLT2阻害薬「ジャディアンス」(一般名:エンパグリフロジン)の有効性と安全性を評価する「EMPA-KIDNEY」試験について、オックスフォード大学と提携すると発表した。

「EMPA-REG OUTCOME」試験の成果にもとづく試験

 「EMPA-KIDNEY」試験は、慢性腎臓病患者における腎イベント(腎臓病の進行など)と、心血管イベント(心血管死など)に対するエンパグリフロジンの有効性と安全性を評価するもの。臨床試験サービスユニットおよび疫学研究ユニット(CTSU)を拠点とするオックスフォード大の医療研究協議会公衆衛生ユニット(MRC PHRU)が独立した立場で実施、解析、報告し、ベーリンガーとイーライリリーが試験に必要な資金を提供する。

 今回の慢性腎臓病患者を対象にしたアウトカム試験の実施は、「EMPA-REG OUTCOME」試験から得られた結果の考察にもとづいている。この試験では、心血管疾患を有する2型糖尿病患者に対して、標準治療にエンパグリフロジンを上乗せした場合の心血管アウトカムに関する長期の安全性を、プラセボと比較して評価した。この試験の被験者の約3分の1は、ベースライン時で慢性腎臓病を有していた。この試験の副次評価項目として、腎臓病の新規発症または悪化の複合イベントのリスクの検討が行われ、その相対リスクの低下に関して良好な結果を示した。今回のEMPA-KIDNEY試験はこのデータについて理解を深めるものとなる。

 「EMPA-REG OUTCOME試験のデータは、慢性腎臓病患者において、エンパグリフロジンが腎臓病の進行速度を遅らせ、心血管イベントのリスクを低下させる可能性を示唆している。慢性腎臓病の患者数は世界で2億人を超えると考えられ、その多くが末期の腎臓病に進行する重大なリスクを抱えている。加えて、慢性腎臓病患者では心血管イベントに起因する早期死亡リスクが高まる。この領域のメディカルニーズが高いことから、エンパグリフロジンが慢性腎臓病患者の生活を向上する新しい治療選択肢になるかどうかを評価するEMPA-KIDNEY試験の実施に期待している」と、MRC PHRUの責任者であるオックスフォード大学のコリン・ベイジェント教授は述べている。

糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病患者約5,000人が参加

 「EMPA-KIDNEY」試験には、糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病患者約5,000人が参加する。同試験の目的は、腎臓病の進行または心血管死に至るまでの時間に対するエンパグリフロジンの有効性を評価すること。同試験はSGLT2阻害薬エンパグリフロジンの有効性および安全性を評価する臨床開発プログラムの一部だ。

 同試験は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同P3試験として実施される。主要評価項目は、腎臓病の進行(末期腎不全(透析や腎移植などの腎代替療法が必要)、eGFR 10mL/min/1.73㎡未満への持続的な低下、腎疾患による死亡、eGFRの40%以上の持続的低下(無作為化後))、心血管死、いずれかのイベントが起きるまでの期間として定義されている。

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