久山町研究の成果で「ひさやま元気予報」を開発 糖尿病リスクは「雨」?
2018.04.20
福岡県久山町と九州大学が行っている疫学調査「久山町研究」の研究成果を活かし、「ひさやま元気予報」を開発したと、九州大学が発表した。
糖尿病などの病気のリスクを「天気予報」のように予測し、利用者の健康増進への取り組みを促す仕組みになっている。
糖尿病などの病気のリスクを「天気予報」のように予測し、利用者の健康増進への取り組みを促す仕組みになっている。
久山町・九州大学・DeNAが「ひさやま元気予報」を開発
久山町、九州大学、ディー・エヌ・エーは、久山町と九州大学が行っている疫学調査「久山町研究」の研究成果にもとづき、「ひさやま元気予報」を開発し、ICTを活用した健康増進への取り組みを久山町民向けに開始すると発表した。 「久山町研究」は、久山町と九州大学の共同研究として、久山町の住民を対象に、1961年から行われている疫学調査。40歳以上の全住民を対象にした健康診断結果のデータを蓄積しており、健診受診率や剖検率、追跡率が高く、日本を代表する精度の高い研究として注目されている。 「ひさやま元気予報」は、疾患の発症に関する情報を提供し、個人の行動変容を促すICTツール。 「久山町研究」の研究成果を活用し、健康診断の結果から「2型糖尿病」や「心血管病」などの疾患の発症に関する情報を、天気と色で表示し、将来の発症に関する情報を感覚的に把握できるようしてある。病気の発症リスクを「天気予報」のように予測
「久山町研究」の成果を使って構築した数学的モデルが使われており、健康診断などで取得した個人の健康データを入力すると、同性や同世代の人と比べた健康状態が、晴れや曇り、大雨などといった図入りで表示される仕組み。 各疾患の5年後・10年後・15年後の発症確率をシミュレーションし、具体的な行動に結びつけやすくしている。 元気予報では、「体重を減らす」「運動を増やす」「間食を減らす」「たばこをやめる」など、行動目標を設定することで、将来の病気の発症リスクを下げられる。 ディー・エヌ・エーの健康保険組合向けサービス「KenCoM(ケンコム)」のアプリに機能追加する形で提供する。ICTを活用して疾患の発症に関する情報提供
久山町では6月の健康診断から、健診時の保健指導ツールとして保健師らが指導に活用するという。 今後「認知症」などの項目を随時追加していく予定で、他自治体を含め広く普及させることを目指す。 久山町では、2014年から疾患発症予測ソフトを使った保健指導を2年間行い、効果を検証したところ、通常の保健指導では運動開始率が10%であったのに対し、ソフトを用いた保健指導では26%に向上した。 九州大学は、長年にわたって行っている「久山町研究」の研究成果を社会実装することにより、健康づくりを支援し、生活習慣病の予防に貢献するとしている。久山町は、町民の健康増進に取り組み、健康長寿のまちづくり・地方創生を推進できる。 久山町研究(九州大学大学院 医学研究院)[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]