SGLT2阻害薬「ジャディアンス」 15件の試験と4つの延長試験のプール解析結果

2017.07.19
 独ベーリンガーインゲルハイムと米イーライリリー・アンド・カンパニーは7月3日、1万2,500人以上の成人2型糖尿病患者を対象とした15件の試験と4つの延長試験の安全性データのプール解析の結果、「ジャディアンス10mg、同25mg」(一般名:エンパグリフロジン)による治療は忍容性に優れ、下肢切断や骨折では、プラセボ群とジャディアンス群において不均衡は認められなかったと発表した。この解析結果は、「Advances in Therapy」に掲載された。

心血管死リスク減少のデータが記載されたはじめての2型糖尿病治療薬

 ジャディアンスは、1日1回経口投与のSGLT2阻害薬。2型糖尿病で高血糖の患者に対し、SGLT2を阻害することで過剰な糖を尿中に排出させる。さらに、ナトリウムを体外に排出させ、循環血漿量を低下させる。

 同剤は現在、欧州や米国をはじめとする世界各国で、成人2型糖尿病患者の治療薬として承認されている。また、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載されたはじめての2型糖尿病治療薬だ。

プラセボ群と比較して心血管死のリスクを38%減少

 今回発表された論文では、15の無作為化第1~3相試験と、4つの延長試験において、プラセボ(4,203名)、同剤10mg(4,221名)、または同剤25mg(4,196名)を投与された2型糖尿病の患者を対象として解析を実施。有害事象については、同剤またはプラセボを少なくとも1回服用した患者を対象として評価した。

 これらの試験で、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者では、血糖降下薬や心血管治療薬などの標準治療にジャディアンスを上乗せ投与した結果、プラセボ群と比較して心血管死のリスクが38%減少したという。

 同試験における同剤の安全性プロファイルは、過去の試験の結果や現在添付文書に記載されている情報と一致。さらに、同剤による治療は忍容性に優れ、下肢切断や骨折では、プラセボ群と比較して不均衡は認められなかったという。

プラセボ群に比べ有害事象の不均衡は認められず

 解析の結果、有害事象、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象の割合は、プラセボを投与された患者と比較してジャディアンスを投与された患者で同程度だった。

 SU薬による治療を受けた患者を除く、低血糖症の発現割合は、プラセボ群、ジャディアンス10mg群およびジャディアンス25mg群で、それぞれ21.9%、24.5%および23.4%だった。

 下肢切断率は全ての群において1.1%だった。EMPA-REG OUTCOME試験において、下肢切断に至った患者の 割合は、プラセボ群(1.8%)とジャディアンス群(1.9%)だった。プール解析において、切断に関係する可能性があるその他の事象(末梢動脈閉塞疾患、糖尿病足病変、感染症および創傷)の発現割合は、プラセボ群とジャディアンス群で同程度だった。

 なお、日本におけるジャディアンス錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果は取得していない。

日本ベーリンガーインゲルハイム
日本イーライリリー

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