糖尿病患者の7割は合併症に、5割は低血糖に、4割は血糖変動に不安感を抱いている 新しいインスリン製剤には前向き
2016.08.09
患者と医療従事者のインスリン治療に対する認識の相違に着目した「インスリン‐ライフ・バランス調査2」
サノフィは、「インスリン‐ライフ・バランス」(インスリン治療と日常生活の調和)の実現へ向けて医療ニーズを探る「インスリン-ライフ・バランス調査」の2回目の調査結果を発表した。
サノフィは、「インスリン‐ライフ・バランス」(インスリン治療と日常生活の調和)の実現へ向けて医療ニーズを探る「インスリン-ライフ・バランス調査」の2回目の調査結果を発表した。
患者の9割以上はさらなる血糖改善を求めている
新しい治療法やインスリン製剤への関心も高い
今回の調査では、「患者と医療従事者(医師・看護師)の間でインスリン治療に対する認識や考え方にどのような違いがあるのか」と「患者の血糖コントロール状況に影響を与える医療従事者側の要因は何か」の2点に着目。インスリン使用中の糖尿病患者712人、インスリン治療にかかわる医師221人および看護師110人が回答した。
今回の調査では、血糖コントロール(HbA1c)の良・不良、年齢に関わらず、さらなる血糖改善を求めている一方、低血糖や血糖変動への不安を抱えている患者が多いことが分かった。医療従事者が考えている以上に患者は「新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報」を強く求めているという。
患者が新しい治療法について医師に尋ねたくても尋ねられないなど、患者と医療者の間にコミュニケーションギャップが生じている可能性もある。「医療従事者が患者のニーズを把握し、それに沿った適切な情報提供をすることによって、より良い治療へつながると期待する」と、同調査を指揮した寺内康夫・横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学教授は述べている。
主な調査結果は以下の通り――
(1)患者は合併症・低血糖・血糖変動に不安を抱えている患者が抱える糖尿病に対する気持ちの上位3項目は、「糖尿病による合併症は怖い」(72.5%)、「低血糖は起こしたくない」(48.9%)、「血糖値の変動が気になる」(43.0%)。過去3カ月以内に低血糖を経験した患者は38.6%で、血糖コントロールが良好な群で37.2%、不良な群で41.4%だった。 (2)医療スタッフが思う以上に患者は血糖コントロール改善に意欲的
血糖値を改善したい患者は93.2%であるのに対し、医療従事者が考える「血糖値を改善したいと考えている患者の割合」は、医師73.3%、看護師64.9%で、患者と医療従事者の間にギャップがあることが明らかになった。
患者は年齢や現在の血糖コントロール状況によらず血糖値の改善意欲が高く、65歳未満で93.2%、65歳以上で93.7%が「血糖値を改善したい」と考えている。 (3)患者は医師が思うよりも新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている
患者が医師から説明して欲しいこととして、「新しい治療方法について」(42.3%)、「新しいインスリン製剤について」(32.6%)を上げる患者が多い一方で、実際に説明を受けた患者はそれぞれ20.4%、19.0%だった。
「新しい治療方法」、「新しいインスリン製剤」の説明の必要性が高いと考える医師はそれぞれ10.9%、11.3%と患者調査の結果と比較して低かった。
患者と医療者にコミュニケーションギャップが生じている可能性
サノフィでは、インスリン治療のアンメットニーズ(まだ解消されていない必要性)を探索するため、糖尿病患者のインスリン治療と日常生活における生活の質に着目した「インスリン-ライフ・バランス」(インスリン治療と日常生活の調和)調査を2015年より実施している。 2回にわたるインスリン-ライフ・バランス調査を通じて、有効性や安全性の高いインスリン製剤が相次いで登場し糖尿病治療も進歩しているにも関わらず、まだまだアンメットニーズは多く存在することが明確になった。 医師が思うより「患者の血糖改善意欲は高い」「患者は新しい治療方法やインスリン製剤について知りたいと思っている」など、患者の「今」の気持ちや考えと医療従事者が思うそれにはズレが生じていることから「患者本人が目指したい状態」と、医師・看護師が考える「患者が目指したい状態」の間に大きなギャップが生じていると考えられる。 血糖コントロール(HbA1c)の良・不良、年齢に関わらず、さらなる血糖改善を求めている一方、低血糖や血糖変動への不安を抱えている患者が多い。そのため医療従事者が考えている以上に患者は「新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報」を強く求めているという。 「近年、患者が望む低血糖のリスクが少なくさらなる血糖改善が期待できる基礎インスリンが登場している。患者が新しい治療法について医師に尋ねたくても尋ねられないなど、コミュニケーションギャップが生じている可能性もあり、医療従事者が患者のニーズを把握し、それに沿った適切な情報提供をすることによって、より良い治療へつながると期待できる。また、問診シートなどを活用することで限られた診療時間の中でコミュニケーションギャップを解消することも期待できると考える。これらのギャップ解消はインスリン-ライフ・バランスの実現に向けた課題のひとつとなる」と、寺内康夫教授は述べている。 関連情報インスリン療法は早期に開始してこそ効果あり 低血糖を抑える製剤も(糖尿病ネットワーク)
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サノフィ
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]