「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」改訂版を公表 「メトホルミンの適正使用」も 糖尿病学会

2016.05.16
 日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は5月12日に、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」の改訂版を公表した。このRecommendationは2014年6月13日に策定され、改訂版の公表は2014年8月29日に次いで2回目になる。

SGLT2阻害薬の適正使用を推進

 SGLT2阻害薬は2014年4月に発売され、現在は6成分7製剤が使用されている。SGLT2阻害薬は新しい作用機序をもつ2型糖尿病薬だが、治験の際に低血糖など糖尿病薬に共通する副作用に加えて、尿路・性器感染症など特徴的な副作用が認められていたという。加えて、同剤が広汎で複雑な代謝や循環への影響をきたしうることから、重篤なものを含む多様な副作用発症への懸念がもたれていた。

 今回の改定では、SGLT2阻害薬が発売されてから1年半を超える期間に報告された副作用情報や高齢者の特定使用成績調査の結果をふまえ、「これらの情報をさらに広く共有することにより、副作用や有害事象が可能な限り防止され、適正使用が推進されるよう」重要な注意点を改訂したという。

 今回、改訂されたRecommendationは以下の通り。

1. インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。

2. 75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合には慎重に投与する。

3. 脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬の併用の場合には特に脱水に注意する。

4. 発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。

5. 全身倦怠・悪心嘔吐・体重減少などを伴う場合には、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があるので、血中ケトン体を確認すること。

6. 本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。

7. 尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。

(日本糖尿病学会SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」から引用)

「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」も改訂

 日本糖尿病学会は「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」のの改訂版も公表。このRecommendationは2012年2月1日に策定され、改訂版の公表は2014年3月28日に次いで2回目になる。

 2016年4月8日にFDAからDrug Safety Communicationが出されたことを受け、従来のクレアチニンによる腎機能評価から推定糸球体濾過量eGFRによる評価へ変更することを主にしたアップデートを行った。

 乳酸アシドーシスの症例に多く認められた特徴として、(1)腎機能障害患者(透析患者を含む)、(2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態、(3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、(4)高齢者を挙げ、「高齢者だけでなく、比較的若年者でも少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドーシスの発現が報告されていることに注意」と指摘している。

日本糖尿病学会

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