目標血糖値が未達成でも患者の6割が「治療に満足」と回答 医師と患者の認識にギャップ
2015.06.29
アストラゼネカは、40~70代の経口薬のみで治療中の2型糖尿病患者400名、糖尿病治療に従事する医師220名を対象に実施した意識調査の結果を発表した。
患者がインスリンを嫌がる理由は「最後の手段だと思うから」が最多 「注射が怖い」は少数
調査によると、目標血糖値が達成できていない患者は45.0%で、うち「現在の糖尿病治療に満足している」患者は58.9%だった。目標血糖値が達成できていないにもかかわらず、現在の治療に満足していると回答した患者が約6割を占め、目標血糖値を達成することの重要性に対する認識の低さが明らかになった。 また、目標血糖値を達成できていない患者の90.6%が「インスリンを受けたくない」と回答。その理由は「インスリン注射は最後の手段だと思うから」(54.0%)、「毎日注射しないといけないから」(49.1%)、「一生注射を続けないといけないと思うから」(44.2%)が上位を占めた。 一方、医師が、患者が自己注射薬をすぐに受け入れないと思う理由のトップは、「怖い」から(インスリン68.7%、GLP-1受容体作動薬70.7%)だった。実際に「注射が恐い」と回答した患者は23.9%であり、患者は医師が思うほど自己注射を「怖い」と思っていないことが判明した。 インスリンに対する患者の抵抗感が高い一方で、インスリン以外の自己注射薬については「知らない」と答えた患者がほとんど(97.5%)だった。インスリン以外の自己注射薬を勧められたことがあるのは、目標血糖値を達成できていない患者のうち3.3%のみだったという。患者が自己注射を受け入れる際に重視するのはQOLやライフスタイル
インスリン以外の自己注射薬として知られるGLP-1受容体作動薬について、医師が勧めるときに重要と思う項目は「より良い血糖コントロール」(89.5%)、「体重増加が起きにくい」(71.4%)、「低血糖が起こるリスクが低い」(70.0%)だった。 一方で、目標血糖値が達成できていない患者がGLP-1受容体作動薬での治療を受けてみたいと思うメリットは「血糖コントロールが良くなったら注射をやめられる」(63.9%)、「体重が増加しにくい」(59.4%)、「毎日注射しなくても良い」(58.9%)と、QOLやライフスタイルへの影響を重視しており、自己注射薬を導入する際にコミュニケーションのずれがある可能性が示唆された。 医師は、注射薬での治療を勧めても「すぐには受け入れない」患者は、インスリンで79.1%、GLP-1受容体作動薬で66.3%いると認識している。一方、目標血糖値が達成できていない患者は、GLP-1受容体作動薬のメリットを知ると、53.9%が「受けてみたい」と回答。うち86.6%が「週1回の注射」であれば「受けてみたい」と回答しており、GLP-1受容体作動薬の導入への認識にギャップがあることが判明した。 調査結果について、「昨今の糖尿病治療は、患者のさまざまなニーズにあわせて薬を選択できるようになってきている。医師と患者が相互に良く話し合って、ライフスタイルにあった、QOLをさらに向上できるような治療法を見いだすことが重要」と、東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授の小田原雅人氏はコメントしている。 アストラゼネカ[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]