新規インスリングラルギン製剤「LY2963016」の包括的データ イーライリリー/ベーリンガー

2014.07.04
 米イーライリリー・アンド・カンパニーと独ベーリンガーインゲルハイムは6月14日、両社による提携開発品の新規インスリングラルギン製剤「LY2963016」が、現在販売されているインスリングラルギン製剤「ランタス」と同等の安全性および有効性をもつことを示す臨床試験データを公開した。

 LY2963016は開発中の基礎インスリンで、食間および夜間の持続的血糖コントロールを目的とする。ランタスとアミノ酸配列が同じであり、世界各地でバイオ後続品として承認申請を行う予定だ。

ランタスと同等の安全性・有効性 世界各地でバイオ後続品として承認申請

 第3相試験は、1型糖尿病患者535人を対象に52週間の無作為化非盲検試験として実施した「ELEMENT-1」試験と、2型糖尿病患者756人を対象とした24週間の無作為化二重盲検試験の「ELEMENT-2」試験で構成される。

 1型糖尿病患者では、投与後24週にHbA1cがLY2963016で0.4%、ランタスで0.5%低下、52週目ではいずれの投与群も0.3%低下したという。2型糖尿病患者では、投与後24週でいずれの投与群も1.3%低下した。有害事象の発現率も同程度と、ランタスに対するLY2963016の非劣性が示された。

 インスリン抗体産生および臨床アウトカムに対する免疫応答の影響が同程度であるかどうかも評価され、LY2963016の免疫原性プロファイルは市販品と類似していた。HbA1c値、基礎インスリンの用量、低血糖の全発生率などの臨床アウトカムは、試験中に患者で抗体反応がみられたかどうかによる影響は受けなかった。

 第1相試験では、LY2963016と米国および欧州で承認されているインスリングラルギンの薬物動態(PK)と薬力学(PD)について、健康な被験者を対象に3件の第1相、無作為化二重盲検、クロスオーバー、正常血糖クランプ試験で評価した。

 インスリングラルギンのPKおよびPDについて、第I相、無作為化、二重盲検試験で評価した。健康な被験者24人を無作為に割り付け、LY2963016とランタスをそれぞれ投与した。また、第1相、無作為化二重盲検、クロスオーバー、グルコースクランプ試験で、1型糖尿病男性20人を対象に、空腹時でLY2963016とランタスの作用持続時間を評価した。

 この結果、LY2963016とランタスのもつPK、PDプロファイルは同様で、1型糖尿病患者での作用持続時間平均はLY2963016で24時間、市販品で26時間だった。LY2963016の忍容性は良好、有害事象、臨床検査値、バイタルサイン、心電図データにおける安全性の懸念はなかったという。

 6件の試験から、LY2963016の体内作用および臨床結果がランタスと同等であることが示された。一連のデータは米国、欧州、日本をはじめ世界の複数の規制当局に提出済みだ。「医師や患者さんへのインスリングラルギンの重要な選択肢の提供に一歩近づいたことになった」としている。

日本イーライリリー

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