メトホルミンは心血管疾患のリスク低下で有利

2011.04.25
 糖尿病治療薬としてよく使用されるメトホルミンは、心血管疾患の死亡リスクにおいてSU薬に比べ有利であることが、メトホルミンやSU薬を服用する患者10万人強を対象とした約20年におよぶデンマークの研究で確かめられた。

「2型糖尿病の第一選択薬」を裏付ける結果に

 グリメピリド、グリベンクラミド、グリクラジド、トルブタミドといったスルホニル尿素薬(SU薬)は1950~70年代以降、2型糖尿病の治療薬として広く利用されている。一方、メトホルミン(BG薬)も古くから使用されている薬剤で、HbA1c低下とともに肥満のある患者でインスリン抵抗性を改善するとことが確かめられており、肥満の多い米国や欧州では2型糖尿病の第一選択薬となっている。

 ともによく処方される薬剤だが、メトホルミンとSU薬の併用による心血管への長期的な影響について、十分な検討がされているとはいえない。そこでデンマークのコペンハーゲン大学病院のTina Ken Schramm博士らは、メトホルミンやSU薬単独による薬物療法を行っている20歳以上のデンマーク在住の10万7,806人のデータを対象に検討した。この研究は、欧州心臓病学会が発行する「European Heart Journal」オンライン版に4月7日付けで発表された。

 全員が1997~2006年の期間中に、メトホルミン、グリメピリド、グリベンクラミド、グリピジド、トルブタミドなどの糖尿病治療薬を服用しており、9,607人が過去に心血管イベント(心臓発作、脳卒中)などを経験していた。

 その結果、メトホルミンと比較して、それらがSU薬を服用し過去に心血管イベントがなかった患者では、全死因死亡リスクが20~30%程度上昇していた。また、これら薬剤を服用している患者では、心臓発作、脳卒中などのリスクが高いことも判明した。一方、グリクラジド、レパグリニドについては、死亡や心血管イベントのリスク増大とは関連がみられず、ハザード比と95%信頼区間はグリクラジドは1.05と0.90、レパグリニドは0.97と1.29となった。

 Schramm博士は「今回の研究はランダム化対照試験ではなく観察研究だ。ただちにSU薬が害になることを示すものではない」としながらも、「メトホルミンを服用した場合に比べ予防効果は低下していた」と強調している。「従来の研究では、SU薬が長期的なリスク低下をもたらすと考えられていた。しかし、今回の研究で推測されたSU薬を服用した患者のリスク上昇により、他のSU薬に比べ、メトホルミンなどの薬剤の利便性があらためて確かめられた」と説明している。

 「メトホルミンは、ほとんどのSU薬に比べリスクを低下させる作用があり、2型糖尿病の第一選択薬であることを支持する結果になった。一方で、心疾患の既往のある患者では、心血管イベントのリスクはSU薬によって異なるという結果になり、もっとも効果があるのはメトホルミンとグリクラジドであることが示唆された。SU薬とメトホルミンの作用メカニズムは十分に解明されていない。今後は心疾患リスク低下に焦点をおいたランダム化試験が課題となる」としている。

Some diabetes drugs are better than others according to new study(欧州心臓病学会 2011年4月7日)
Mortality and cardiovascular risk associated with different insulin secretagogues compared with metformin in type 2 diabetes, with or without a previous myocardial infarction: a nationwide study
European Heart Journal. doi:10.1093/eurheartj/ehr077

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