医薬品の副作用情報 患者からネットで情報収集 厚労省研究班
2011.02.14
厚生労働省の研究班は今年から、医薬品の副作用情報について、インターネットを通じ患者から直接情報を集め調査する研究事業「医薬品副作用報告システム」の試験運用を始めた。
副作用によると疑われる症例についての報告は、現行制度では、「(1)製薬企業から薬事法の規定により医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告する」、「(2)医療機関から厚生労働省へ報告する」が主な方法となっている。 医薬品を使った患者本人や家族などがネットを通じて副作用を報告ができる仕組みづくりは国内では初めて。欧米には患者から副作用報告を集めるの制度があり、例えば英国では2003年から英国医薬品庁がパイロットスタディを行い、2008年から正式に稼働している。 これまで患者から直接情報を集める仕組みはなく、薬害肝炎事件を受けて厚生労働省に設置された委員会からは「患者からの副作用報告制度を創設すべき」と提言された。 医師が処方した医薬品に加え、薬局やドラッグストアで購入した医薬品も副作用の調査対象となる。調査期間は今年7月までで、研究期間は来年3月まで。研究結果をふまえ新たな副作用報告の仕組みづくりを検討する。 報告は研究班のホームページを通じて行う。PMDAのホームページからもリンクされている。患者は副作用の症状や、どのような経過だったかを書き込み、使用した医薬品を選択する。複数の医薬品を服用していた場合にはすべての名前を選択し、その中から副作用の原因だと思う医薬品名を選ぶ仕組み。 研究班では「患者に多数の報告をもらうことで、患者報告に伴うさまざまな問題点が明らかになり、より良い患者報告に対する提言にもつながると期待している」と述べている。 厚生労働科学研究費補助金事業「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究班」
医薬品副作用報告システム
副作用が疑われる症例報告に関する情報(医薬品医療機器総合機構)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]