SGLT2阻害薬「ASP1941」有効性と安全性を確認 米国糖尿病学会で発表

2010.06.28
 アステラス製薬は、第70回米国糖尿病学会(American Diabetes Association、以下「ADA」)において、現在開発中のSGLT2阻害薬「ASP1941」の日本での第Ⅱ相臨床試験の結果を口演発表した。
 今回発表された演題(演題番号:75-OR)は「ASP1941, a novel, Selective SGLT2 Inhibitor, Was Effective and Safe in Japanese Healthy Volunteers and Patients with Type2 Diabetes Mellitus」。滋賀医科大学医学部附属病院の柏木厚典教授より、日本人2型糖尿病患者361人を対象とした用量設定試験(12.5、25、50、100mg、プラセボ)の結果が発表された。
 この試験においてASP1941は、主要評価項目であるベースラインからのヘモグロビンA1c(HbA1c)の変化量を、統計的な有意差をもって用量依存的に低下させた。このHbA1c値の低下量はASP1941の50mgの投与群で最大に達し、その差はプラセボ群に比較して1.3%だった。さらに、ASP1941の投与により用量依存的かつ統計的に有意な体重減少作用も認められ、100mgの投与群では体重が12週間で2kg減少した。なお、すべての用量において忍容性も確認されたという。
 この試験結果より、日本で現在実施している第Ⅲ相臨床試験では50mgが選択されている。

【SGLT2阻害薬とASP1941について】
 SGLT(Sodium-Glucose Co-transporters)は、細胞表面に存在する膜タンパク質で、ブドウ糖の細胞内への輸送を司っている。SGLT2は、Sodium-Glucose Co-transporterのサブタイプの1つであり、腎臓近位尿細管でのブドウ糖再取り込みにおける重要な役割を担っている。ASP1941は、このSGLT2を選択的に阻害することで、ブドウ糖の再取り込みを抑制し、血糖値を下げる薬剤。
 なお、ASP1941は、2型糖尿病の適応症取得を目指してアステラス製薬および寿製薬が共同開発を行っている。現在、日本で第Ⅲ相臨床試験、欧米では第Ⅱ相臨床試験を実施中。

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