厳格なコントロールにより2型糖尿病アジア人の糖尿病腎症を抑制できる

2010.02.10
 このほど発表された中国人の2型糖尿病を対象に実施した臨床研究によると、米国糖尿病学会(ADA)が推奨するコントロール指標、すなわち▽HbA1c 7%未満、▽収縮期血圧 130/80mmHg未満、▽LDLコレステロール 100mg/dL未満、▽トリグリセリド 150mg/dL未満、▽HDLコレステロール 男性40mg/dL以上、女性50mg/dL以上を目標に治療を継続すると、糖尿病腎症を遅らせることができるという。

 この試験は、台湾彰化市などに在住する2型糖尿病の中国人男女1,290人を対象に、4.5年の期間を設け実施された。対象者は全員が2型糖尿病で、微量アルブミン尿が陰性(normoalbuminuria)と診断され、ADAが推奨する厳格なコントロール指標に取り組んだ。

 期間中に、211人(16.4%)が微量アルブミン尿が陽性と新たに診断された。ADAの目標達成と微量アルブミン尿への進行のあいだに、重要な関連がみられた。HbA1c値が7%未満(ハザード比0.729、95%信頼区間0.553-0.906、p=0.03)、収縮期血圧 130/80mmHg未満(0.645、0.491-0.848、0.002)、HDLコレステロール 男性40mg/dL以上、女性50mg/dL以上(0.715、0.537-0.951、p=0.02)という結果が示された。

 アジア人の2型糖尿病患者で、微量アルブミン尿が陰性のうちに厳格なコントロールをめざすと、どれだけ糖尿病腎症を長期にわたり予防できるかはよく分かっていない。

 湾彰化市のChanghuaキリスト教病院のShun-Jen Chang氏(内分泌代謝内科学)らは、「厳格な多因子介入(multifactorial intervention)により、糖尿病腎症への進行を抑えることができることが示された。正常アルブミン尿のうちから介入を開始するべきだ」と述べている。

Prevention of Diabetic Nephropathy by Tight Target Control in an Asian Population With Type 2 Diabetes Mellitus
Archives of Internal Medicine, Vol. 170 No. 2, January 25, 2010

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