2型糖尿病での経口薬治療による心疾患など死亡転帰リスク
2009.12.25
英国での開業医対象の後向きコホート研究
英国で実施された9万1521人の2型糖尿病患者を対象とした後向きコホート研究で、経口血糖降下薬による治療を受ける2型糖尿病患者での心疾患などによる死亡転帰リスクが比較検討された。この報告は「British Medical Journal(BMJ)」電子版に2009年12月3日に掲載された。英London Imperial CollegeのIoanna Tzoulaki教授らの研究チームは、投与する経口薬のタイプと、心筋梗塞、うっ血性心不全、死亡のリスクとの関連を調べる後向きコホート研究を実施した。1990年から2005年の間に英国の一般開業医研究研究データベースに登録された、平均年齢65歳の2型糖尿病患者9万1521人の情報を使用し調査した。もっとも処方が多かったのはメトホルミン(74.5%)で、第2世代SU薬(63.5%)が続いた。
メトホルミンに比べ、第1世代と第2世代のSU薬は、全死因死亡のリスクを61%上昇する結果になった。第2世代SU薬では、うっ血性心不全のリスクが30%上昇した。一方、チアゾリジン系薬剤については心筋梗塞との関連がみられなかった。ピオグリタゾンでは、メトホルミンに比べ全死因死亡リスクが39%低下した。
Tzoulaki教授は「経口血糖降下薬によって心血管の安全プロフィールに臨床的な有意差がある。SU薬はメトホルミンとともに2型糖尿病の薬物療法で広く使用されており中心的にとらえられている。我々の調査ではSU薬について、メトホルミンに比べ比較的不利なリスクプロフィールが示唆された」と述べている。
「世界の1億8000万人以上が罹患しているとみられる2型糖尿病は、主に心疾患による死亡リスクを2倍以上に高める。もっともよく用いられるのは経口血糖降下薬による血糖コントロールだ」として、2型糖尿病治療の第1選択薬としてメトホルミンを推奨するアメリカの糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)のガイドラインを支持している。
Risk of cardiovascular disease and all cause mortality among patients with type 2 diabetes prescribed oral antidiabetes drugs: retrospective cohort study using UK general practice research database
(BMJ, December 2009, doi:10.1136/bmj.b4731)
カテゴリー:ビグアナイド薬
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