肥満症治療薬・セマグルチド、チルゼパチドと比較して主要心血管イベントが57%低下 ノボ ノルディスク ファーマ

Wegovy(セマグルチド 2.4mg)はEUにおいて、BMI30kg/m2以上(肥満)の成人、BMIが27kg/m2以上(過体重)で体重に関連した健康障害を1つ以上有する成人、初期BMIが年齢および性別の95パーセンタイル値以上(肥満)かつ体重が60kgを超える12歳以上の小児における、長期的体重管理のための低カロリー食および運動療法の補助療法としての適応を有している。
これまで同剤は、糖尿病の既往がない過体重または肥満で心血管疾患の既往を有する人を対象としたSELECT試験(無作為化二重盲検プラセボ対照試験)において、プラセボに比べて主要血管イベント(MACE;心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発現リスクが20%低下したという結果が得られている。さらに、SCOREリアルワールド研究(電子医療記録を用いた後ろ向き解析)においても、糖尿病の既往がない過体重または肥満で心血管疾患の既往を有する45歳以上の成人において、Wegovy使用者では非使用者に比べてMACEリスクが低下していた。
今回のSTEERリアルワールド研究では、糖尿病の既往がない過体重または肥満でCVDの既往を有する米国の成人(米国Komodo Researchデータベースから、2022年5月13日以降にWegovyまたはチルゼパチドの投与を開始した45歳以上)を対象に、Wegovyとチルゼパチドの有効性を後ろ向きに比較した。主要アウトカム項目として、改訂5ポイントMACE(心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院、冠動脈血行再建、全死亡)と改訂3ポイントMACE(心筋梗塞、脳卒中、全死亡)が評価された。
解析の結果、Wegovy投与群ではチルゼパチド投与群と比べて、30日を超える治療中断がなかった人において、MACEリスク(心筋梗塞、脳卒中、全死亡)が57%低下していた。また、治療中断の有無を問わない全投与例においても、Wegovy投与群はチルゼパチド投与群と比べてMACEリスクが29%低下していた。
なお、本邦で承認されているウゴービ皮下注(一般名:セマグルチド[遺伝子組み換え])の適応は、肥満症(高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、BMIが27kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、またはBMIが35kg/m2以上の者)であり、Wegovyの適応症とは異なる。