菅野義彦先生のインタビュー連載『30年来の腎臓病食事療法を再考する【第2回】エビデンスと患者の実態から考える保存期の食事療法』を公開

2024.10.30
 糖尿病リソースガイドは、糖尿病性腎症や慢性腎臓病の進展防止、腎不全予防とともに腎代替療法への正しい理解を目的とした特集コーナー『糖尿病診療・支援のための腎臓病リスキリング 慢性腎臓病とSDM~life goalsと療法選択~』において、東京医科大学病院 腎臓内科学分野 主任教授である菅野義彦先生のインタビュー記事30年来の腎臓病食事療法を再考する【第2回】エビデンスと患者の実態から考える保存期の食事療法を公開した。
※Shared Decision Making

協力:株式会社ヴァンティブ

食事療法のスペシャリスト・菅野義彦先生のインタビュー連載が好評

糖尿病診療・支援のための腎臓病リスキリング 慢性腎臓病とSDM~life goalsと療法選択~

 年々、増加傾向にある慢性腎臓病。糖尿病はその代表的原因疾患であり、1998年以降、糖尿病性腎症が透析導入となる原因の第一位となっている。この状況を受けて開設した慢性腎臓病の特集コーナー(2024年6月開設)において、菅野義彦先生のインタビュー記事(集中連載第2回目)を新たに公開した。

 東京医科大学病院 腎臓内科学分野 主任教授の菅野義彦先生は、日本臨床栄養学会理事長、日本透析医学会理事、日本病態栄養学会理事、公益社団法人日本透析医会 東京透析医会副会長を務めるほか、日本腎臓学会の食事療法のガイドライン作成委員であり、透析医学会で12年ぶりに改訂を予定している「透析患者の糖尿病治療ガイド2024」改訂ワーキングチームの一人でもある。

 多様化する治療や患者像に対して固定化した考え方・イメージを捨て、個人の生活や人生に寄り添った食事療法に取り組む大切さを述べた第1回目の記事『たんぱく質制限は、目の前の患者にとって本当に必要か』(総テーマは『30年来の腎臓病食事療法を再考する』)は、菅野先生の率直な意見と軽妙な語り口そのままに新しい気づきを得られる内容で大変好評を得ており、まだ読んでいない方は、ぜひ第1回からお読みいただきたい。

集中連載『30年来の腎臓病食事療法を再考する』第2回目の記事を公開

 第2回目は、現在CKD患者に対して行われている食事療法のエビデンスの話から。以下、冒頭部分を引用する。

<<第1回目では、保存期が長くなり、透析導入後の人生も長くなってサルコペニアやフレイルという病態が注目されている現在、慢性腎臓病(CKD)患者全員にたんぱく質制限を行う考え方は見直すべき時代に入っているというお話をしました。読んでくださった皆さま方の中には、「とはいえ、保存期CKDの低たんぱく療法は食事療法として確立しているのだから、当然エビデンスがあるはず」と思われた方もおられると思います。
 今回は、そのことからお話を始めましょう。
 日本の腎臓病食事療法のガイドラインは、2010年以前の海外の研究のメタアナリシスをもとに、各国のガイドラインを参照しながらまとめられています。しかし振り返ってみると、2000年代初頭の腎臓病は、20~30代の糸球体腎炎やネフローゼが中心でした。また、出産後の腎機能低下も少なくありませんでした。
 つまり現在と違って、当時は腎臓病の患者さんが若く、エビデンスにおいても現在の腎臓病患者さんのトレンドとは異なるのです。>>
(続きは下記リンク先から、無料で閲覧できます)。

●集中連載インタビュー
30年来の腎臓病食事療法を再考する【第2回】エビデンスと患者の実態から考える保存期の食事療法
東京医科大学病院 腎臓内科学分野 主任教授
菅野義彦 先生

<第2回内容>

  • 現在の状況に合うエビデンスがない
  • サルコペニア合併の予防が重要
  • 『低たんぱく・高エネルギー食』を現実的に続けられるか
  • 厳しい食事制限に適応のある患者像
  • 腎臓病における食事療法の地位

<菅野義彦 先生プロフィール>
1991年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学院医学研究科、米国留学、埼玉社会保険病院腎センター、埼玉医科大学腎臓内科、慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センターを経て、2013年4月東京医科大学病院腎臓内科主任教授に就任。2021年9月慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科修士課程修了。日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会専門医、日本透析医学会専門医。日本臨床栄養学会理事長、日本透析医学会理事、日本病態栄養学会理事、公益社団法人日本透析医会 東京透析医会副会長。著書に『栄養指導にいかす検査値の読みとりポイント:見方がわかれば味方になる!』(ニュートリションケア2020年春季増刊/メディカ出版)他。

腎臓病に関する資料が無料でダウンロード可能

 本特集では、インタビュー記事の他、腎臓病の治療や診療支援に役立つ以下の資料が入手できるページも設置。無料でダウンロードできるので、ぜひ利用してほしい。

  • 『かかりつけ医も取り組む腹膜透析診療 岡本 卓 先生(愛し野内科クリニック 院長)』
  • 『かかりつけ医も取り組む腹膜透析診療 佐藤克哉 先生(猿払村国民健康保険病院 院長JSPD連携認定医)』
  • 『腎不全 治療選択とその実際2023』
  • 『腎臓病 あなたに合った治療法を選ぶために』
  • 『あなたの腎臓を守るために』
  • 『腎不全治療説明用下敷き(A3版)』

 本特集コーナーは今後さらにコンテンツを充実させ、様々な情報を届ける予定である。
 また、本特集は糖尿病リソースガイド内のコーナーだが、患者向けに糖尿病ネットワークでも腎臓病の特集コーナー『腎臓の健康道~つながって知る、人生100年のKidney Journey~』を設けており、引き続き医療者側と患者側の双方で腎臓病に対する知識の底上げができるよう図っていく。

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