【認知症リスク】50歳未満で2型糖尿病と診断された患者は2倍近くに上昇 診断時年齢が若いほど発症リスクは高い
糖尿病は認知症のリスク因子のひとつと考えられているが、そのエビデンスの多くは、高齢患者を対象とする研究から得られたもので、非高齢期発症2型糖尿病患者の認知症リスクについてはよく分かっていない。
糖尿病発症年齢と認知症リスクの関係を詳しく知るためにQi氏らは、2002~2016年に実施された健康と退職に関する研究のデータと、2003年に実施された糖尿病疫学調査のデータを用いた前向きコホート研究を行った。
解析の対象は、ベースライン時点で認知症のない50歳以上の2型糖尿病患者1,213人(平均年齢 68.8±8.2歳、女性 54.8%、HbA1c 7.2±1.4%)。中央値10年(四分位範囲 6~14)追跡したところ、216人(17.8%)が認知症を発症していた。
結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種/民族、BMI、喫煙・運動習慣、HbA1c、血糖降下薬の処方状況、併存疾患、教育歴、収入など)を調整後、70歳以降に2型糖尿病を診断された患者と比較すると、50歳未満で診断されていた患者は認知症発症リスクが90%高かった[ハザード比(HR) 1.90、95%信頼区間 1.14~3.18]。
また、50代で診断されていた患者は72%[HR 1.72、同 1.06~2.79]、60代で診断されていた患者は70%[HR 1.70、同 1.03~2.80]、それぞれ有意にハイリスクだった。
年齢を連続変数として解析すると、診断時年齢が1歳若いごとに認知症発症リスクは1.9%上昇するという関連が認められた。
肥満の有無で層別化した解析からは、50歳未満で2型糖尿病と診断された肥満を有する患者が、最も認知症のリスクが高いことが示された。具体的には、診断時年齢が50歳以上で肥満のない患者を基準として、診断時年齢が50歳未満で肥満がない場合は121%のリスク上昇であるのに対して[HR 2.21、同 1.02~4.79]、肥満を有している場合は205%ハイリスクだった[HR 3.05、同 1.23~7.56]。
著者らは、「われわれの研究結果は糖尿病の診断時年齢の重要性を強調するものであり、特に肥満をターゲットとした食事や運動、薬物療法などの介入が、若年成人糖尿病患者の認知症の予防に役立つ可能性を示唆している」と述べている。
[HealthDay News 2024年11月26日]
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