小児期発症1型糖尿病を30年超追跡 網膜症と腎症では発症の経時的パターンが異なる可能性

血糖コントロールの不良や糖尿病罹病期間の長さが、網膜症や腎症などの細小血管合併症の主要な危険因子であることは知られているが、発症年齢や初期の血糖曝露が、生涯にわたる合併症の発症や進行とどのように関連するかについては不明な点が多い。そこで研究グループは、周産期要因、発症年齢、血糖コントロールなどが細小血管合併症の進展にどのように影響するかを明らかにする目的で後方視的観察研究を実施した。
研究対象は、1981年から1992年にかけてスウェーデンで0〜14歳時に1型糖尿病と診断された94名。国家レジストリ等を用いて2022年3月まで追跡され、追跡期間の中央値は33年(範囲9〜40年)、追跡終了時の平均年齢は41歳であった。
追跡期間中、85%が糖尿病網膜症(DR)、19%が増殖糖尿病網膜症(PDR)、45%がアルブミン尿、12%が顕性アルブミン尿を呈した。Poisson回帰モデルを用いて発症の経時的パターンを解析した結果、DRおよびPDRの発生は糖尿病罹病期間が予測因子となっていた。一方、アルブミン尿の発生は年齢が予測因子となっていた。
リスク因子の解析において、HbA1c高値はアルブミン尿(HR 1.02)、顕性アルブミン尿(HR 1.04)、DR(HR 1.02)、PDR(HR 1.05)のすべてにおいて有意な予測因子であった。また、先行するDRはアルブミン尿の発症リスクを高め(HR 2.07)、逆に先行するアルブミン尿はDRの発症リスクを高めており(HR 1.74)、対象者の約40%で両合併症が併発していた。性別による違いとして、女性はPDRの発症リスクが高かったが(HR 3.28)、腎アウトカムとの関連は認められなかった。
修正可能なリスク因子については、拡張期血圧がアルブミン尿(HR 1.07)を、喫煙が顕性アルブミン尿(HR 4.81)を予測する因子であった。さらに、収縮期血圧(HR 1.03)および拡張期血圧(HR 1.08)の両方がDRの予測因子であった。妊娠週数や出生体重などの周産期因子、および発症時年齢やBMIは、いずれのアウトカムとも関連を示さなかった。
本研究結果から、小児期発症1型糖尿病では30年以上の経過で細小血管合併症が高頻度に発生するものの、網膜症と腎症では発症の経時的パターンが異なる可能性が示された。著者らは研究結果について、早期からの持続的な血糖管理と、血圧や喫煙といった修正可能なリスク因子の生涯にわたる管理の重要性が改めて示唆されるものであると結論づけている。





