(扉)特集にあたって
─血糖値だけでない!その実力─
(扉)特集にあたって
Vol.38 No.6(2021年11・12月号)pp.649
金藤秀明 Kaneto, Hideaki
川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
三浦義孝 Miura, Yoshitaka
みうら内科クリニック
■ 特集にあたって
今回はGLP-1受容体作動薬に関するトピックスを特集している.GLP-1受容体作動薬は,膵β細胞のGLP-1受容体に作用してインスリン分泌を促すとともに,膵β細胞のアポトーシス抑制,細胞増殖の促進など,膵β細胞保護効果を有している.またGLP-1受容体作動薬は血管のGLP-1受容体に作用して,動脈硬化抑制効果があることも多くの基礎研究および大規模臨床研究にて証明されている.さらに,GLP-1受容体作動薬は抗肥満効果・神経保護効果・腎保護効果などを有することも明らかとなっている.臨床的には,GLP-1受容体作動薬とインスリンとの合剤が使用可能となっており,その有用性が期待されている.またこれまでのGLP-1受容体作動薬は注射薬のみだったが,実臨床では経口GLP-1受容体作動薬も使用可能となっており,その有用性が現在とても期待されている.さらに,今後GIP/GLP-1受容体作動薬が実臨床でも使用可能となる予定であり,その効果も大いに期待されている.これらの背景から,本特集ではGLP-1受容体作動薬に関して第一線で研究および臨床に携わっておられる先生方に執筆していただいた.
川崎医科大学の木村友彦先生から「GLP-1受容体作動薬の膵β細胞保護効果」,順天堂大学の三田智也先生・綿田裕孝先生から「GLP-1受容体作動薬の動脈硬化抑制効果」,愛知医科大学の姫野龍仁先生・神谷英紀先生から「GLP-1受容体作動薬の抗肥満効果,神経保護効果,腎保護効果」,横浜市立大学の寺内康夫先生から「GLP-1受容体作動薬/インスリンとの合剤:2種類の製剤の特徴,使い分け」,京都大学の波床朋信先生・原田範雄先生から「GIP/GLP-1受容体作動薬への期待」,岐阜市民病院の窪田紗希先生・丸山貴子先生・山田浩司先生,岐阜大学の矢部大介先生から「経口GLP-1受容体作動薬の登場─新しいdrug deliveryと薬剤効果」というタイトルで,それぞれご専門の立場から最近のトピックスを執筆していただいた.
本特集の内容は多くの医療関係者の研究や臨床に直結する内容であり,ぜひともできるだけ多くの医療関係者の方にお目通しいただければたいへんありがたい.
特集 ■GLP-1受容体作動薬への期待:新規創薬からの更なる飛翔
(扉)特集にあたって(11月22日up)
金藤秀明/川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
三浦義孝/みうら内科クリニック
1.GLP-1受容体作動薬の膵β細胞保護効果(11月22日up)
木村友彦/川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科学
2.GLP-1受容体作動薬の動脈硬化抑制効果(11月22日up)
三田智也 綿田裕孝/順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学
3.GLP-1受容体作動薬の抗肥満効果,神経保護効果,腎保護効果(11月22日up)
姫野龍仁 神谷英紀/愛知医科大学医学部内科学講座 糖尿病内科
4.GLP-1受容体作動薬/インスリンとの合剤:2種類の製剤の特徴,使い分け (11月22日up)
寺内康夫/横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学
5.GIP/GLP-1受容体作動薬への期待(11月22日up)
波床朋信 原田範雄/京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学
6.経口GLP-1受容体作動薬の登場 ─新しいdrug deliveryと薬剤効果─(11月22日up)
窪田紗希* 1, 2, 3 丸山貴子* 1 山田浩司* 1 矢部大介* 2, 3, 4, 5/
* 1 岐阜市民病院 糖尿病・内分泌内科
* 2 岐阜大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌代謝内科学/膠原病・免疫内科学
* 3 関西電力医学研究所 糖尿病研究センター
* 4 東海国立大学機構 医療健康データ統合研究教育拠点
* 5 神戸大学大学院医学研究科 分子代謝医学