糖尿病治療薬の処方を受けた患者数は8年間で1.4倍に増加 処方患者の最多はメトホルミン NDBを解析

2023.07.26
 臨床疫学研究推進機構は、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」のサンプリングデータセットを活用し、網羅的解析を行った成果を公表した。

 2012年1月~2020年1月(各年1月・4月・7月・10月)の診療分の医科入院・医科入院外・DPC・調剤レセプトを対象とし、外来患者のべ1,891万4,933人,入院患者のべ744万5,993人の医薬品情報・診療行為情報・傷病名情報を網羅的に分析。

 糖尿病治療薬の処方を受けた患者数のピークは70~79歳にあり、次いで60~69歳と80~89歳が上位。70~79歳の患者数は同期間に、1万4,272人から1万9,948人に1.40倍に増加した。

 外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の推移を、患者数が上位の薬剤ごとにみると、2020年1月時点のシェアは、メトホルミン(ビグアナイド薬)が首位、次いでシタグリプチン(DPP-4阻害薬)とグリメピリド(SU薬)が上位になっている。

糖尿病治療薬の処方を受けている外来患者数は600万人超
もっとも処方患者数が多いのはメトホルミン

 「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」は、全国の保険医療機関から発行された診療報酬明細書(レセプト)を厚生労働省がデータベース化したもの。研究は、NDBサンプリングデータセットを活用して、NDBを活用した研究のフィージビリティ向上に資する基礎資料を開発することを目的に行われている。

 薬剤クラスについては、降圧薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安・睡眠薬、気分安定薬、抗認知症薬、ADHD治療薬、パーキンソン病治療薬、抗てんかん薬、抗悪性腫瘍薬、抗サイトメガロウイルス薬、抗HIV薬、抗インフルエンザ薬、抗菌薬、ステロイド、吸入ステロイド喘息治療薬、抗リウマチ薬、オピオイド、鎮痛薬、抗血栓薬、抗血小板薬について、集計結果を公表している。

 このうち外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の推移については、2012年1月~2020年1月に、患者数は4万5,549人から5万8,059人へと、1.27倍増加した。これは、糖尿病治療薬の処方を受けている外来患者数は、600万人を超えることを示している。

外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の推移 (2012年1月~2020年1月)

 外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の推移を、年齢区分ごとにみると、構成率のピークは、70~79歳にあり、次いで60~69歳と80~89歳が上位になった。同期間に、70~79歳の患者数は1万4,272人から1万9,948人へと、1.40倍に増加した。

外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の年齢区分の推移 (2012年1月~2020年1月)

 外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の推移を、患者数が上位の薬剤ごとにみると、2012年1月時点の糖尿病治療薬のシェアは、グリメピリド(SU薬)が首位、次いでシタグリプチン(DPP-4阻害薬)とメトホルミン(ビグアナイド薬)が上位だったが、2020年1月時点のシェアは、メトホルミンが首位、次いでシタグリプチンとグリメピリドが上位であり、順位に変動があった。

 たとえばメトホルミンは、外来で2012年1月には1万1,566人、2020年1月には1万8,207人に処方されており、処方数が増えている。

外来で糖尿病治療薬の処方を受けた一般名別患者数の推移 (2012年1月~2020年1月)

 2020年1月診療分の外来で糖尿病治療薬の処方を受けた患者数の、患者数が上位の疑い病名を除く傷病名が、年齢区分(全年齢、10~19歳、80~89歳)別に示されている。全年齢区分と80~89歳では、高血圧症が首位、次いで糖尿病と2型糖尿病が上位になった。一方で、10~19歳では、1型糖尿病が首位、次いでアレルギー性鼻炎と1型糖尿病・糖尿病性合併症なしが上位になった。

糖尿病治療薬の処方を受けた患者の傷病名 (2012年1月~2020年1月)

※図表の出典はいずれも臨床疫学研究推進機構

一般社団法人 臨床疫学研究推進機構

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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