低血糖リスクのある糖尿病患者の管理ガイドラインを改訂――米国内分泌学会

2023.01.12
 米国内分泌学会はこのほど、低血糖リスクの高い糖尿病患者の管理に関するガイドラインを改訂し、同学会発行の「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に12月7日掲載した。インスリン頻回注射療法(MDI)を行っている患者には指先穿刺による血糖自己測定(SMBG)ではなく、連続血糖測定(CGM)を推奨するなど、計10項目の推奨事項が掲げられている。

 同学会は2009年に成人の低血糖に関するガイドラインを発行していた。今回の改訂では、そのガイドラインの糖尿病に関わる部分の内容が更新され、成人だけでなく小児の低血糖に関しても臨床指針が示された。筆頭著者である米バージニア医科大学のAnthony L. McCall氏は、「改訂されたガイドラインは、糖尿病患者本人とサポートする人、および糖尿病医療の専門スタッフの全てにとって、低血糖に対する最善の対策を理解する上で有用なものとなったのではないか」と述べている。推奨事項の主な内容は以下の通り。

 MDI療法中の1型糖尿病患者には、指先穿刺によるSMBGではなく、CGMの使用を推奨する(強い推奨/エビデンスレベル:低)。成人および小児1型糖尿病患者には、SMBGを併用したMDI療法ではなく、リアルタイムCGMとアルゴリズムによって制御されるインスリンポンプ(algorithm-driven insulin pumps;ADIP)の使用を推奨する(弱い推奨/エビデンスレベル:低)。インスリンやSU薬を使用しており低血糖リスクのあるCGMを利用していない2型糖尿病外来患者には、リアルタイムCGMの使用を推奨する(弱い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。

 低血糖リスクの高い入院患者には、入院中のCGM使用を推奨する(弱い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。CGM施行患者の入院に際しては、ADIP併用か否かにかかわらず、CGMを中止するのではなく継続することを推奨する(弱い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。低血糖リスクのある入院患者には、血糖サーベイランスと管理のためのプログラムに、電子カルテデータの利用を推奨する(強い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。

 低血糖リスクの高いベーサルインスリン療法を行っている成人および小児の外来患者には、NPH製剤ではなく持効型アナログ製剤の使用を推奨する(強い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。低血糖リスクの高いベーサル/ボーラスインスリン療法を行っている成人および小児の外来患者には、速効型ヒトインスリンではなく、超速効型アナログ製剤の使用を推奨する(弱い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。

 インスリン療法を行っている1型および2型の成人および小児の外来患者に対しては、構造化されていないアドバイスではなく、構造化された患者教育プログラムの適用を推奨する(強い推奨/エビデンスレベル:低)。重症低血糖患者を外来で治療する場合、溶解を必要としないグルカゴン製剤の使用を推奨する(強い推奨/エビデンスレベル:非常に低い)。

 なお、数人の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。

[HealthDay News 2022年12月30日]

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