【慢性腎臓病(CKD)対策】多職種連携を通じたCKD保存期患者への支援、病診連携、重症化予防など 日本医療政策機構

慢性腎臓病(CKD)対策の課題・進捗・展望を報告
シンポジウムは2024年8月にハイブリッド形式で開催したもので、日本腎臓病協会との共催。自治体での政策実装の参考にしてもらいたいとしている。
報告書には、「かかりつけ医に期待される役割と機能」「CKD診療における病診連携(かかりつけ医、腎臓専門医それぞれの視点から)」「CKD保存期患者の当事者視点で求められる支援体制」「地域連携(多職種連携・病診連携)推進」「糖尿病性腎症重症化予防プログラムのCKDへの拡張」などの内容が含まれる。
開会挨拶「患者と共に推進する日本の包括的なCKD対策に向けて」 |
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石田昌宏 (参議院議員)
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基調講演「CKD対策の課題、進捗、展望」 |
柏原直樹 (日本腎臓病協会 理事長/川崎医科大学高齢者医療センター 病院長・特任教授)
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パネルディスカッション1「健康診断によるCKDの早期発見と結果を活用した早期介入」 |
パネリスト:
猪阪善隆 (大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授) 島田 妙 (岡山市保健福祉局保健福祉部 国保年金課 レセプト・保健係 副主査保健師) 三宅亮仁 (岡山県保健医療部 健康推進課 健康づくり班 主任) モデレーター: 吉村英里 (日本医療政策機構 シニアマネージャー) |
パネルディスカッション2「CKD対策推進におけるかかりつけ医の役割と課題」 |
パネリスト:
今村英仁 (日本医師会 常任理事/公益財団法人慈愛会 理事長) 内田啓子 (基金拠出型医療法人 眞仁会 横須賀クリニック 診療部長) 小林一雄 (日本臨床内科医会/内科クリニックこばやし 院長) 細越百合香 (腎疾患当事者) モデレーター: 乗竹亮治 (日本医療政策機構 代表理事・事務局長) |
パネルディスカッション3「自治体でのCKD政策とさらなる推進に向けた中央政府の役割」 |
パネリスト:
小川麻里子 (岐阜県健康福祉部 保健医療課 健康増進係 技術主査) 中川直樹 (旭川医科大学 内科学講座 循環器・腎臓内科学分野 教授) 三ッ林裕巳 (衆議院議員) 山崎元靖 (神奈川県健康医療局 医務担当部長) モデレーター: 吉村英里 (日本医療政策機構 シニアマネージャー) |
閉会の辞 |
黒川 清 (日本医療政策機構 理事・終身名誉チェアマン)
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日本腎臓学会編の「CKD診療ガイド2024」によると、日本では成人の5人に1人に相当する約2,000万人がCKDと推定される。CKDは進行すると透析を要する腎不全の原因になる。日本の透析患者数は約35万人で世界第3位だ。また、CKDは比較的軽度であっても、心血管疾患(CVD)の発症や死亡のリスクになる。
同機構は、CKDに対する社会全体の関心を引き上げるために、「腎疾患対策推進プロジェクト」を2022年に開始。CKDの予防や早期介入、多職種と多機関連携、都道府県や地域ベースの好事例の横展開、患者・当事者視点にもとづく腎疾患対策の推進などのそれぞれの必要性を提言した。
2023年には、12の自治体を対象にCKD対策の好事例・課題ヒアリングを実施し、それにもとづく地域でのCKD対策推進に向けた解決策を、産官学民アドバイザリーボード会合で検討し、政策提言書に取りまとめて発信した。さらには、CKD対策の相互参照、全国均てん化を目指すべく、地方自治体の行政官が一同に会した会合を福岡市、仙台市で開催した。
2024年の腎疾患プロジェクトでは、これまでの活動を通じて得られた好事例や課題および解決策など、議論の内容を広く社会へ発信することを目的に、シンポジウムを開催。2025年にも、患者・市民主体によるCKD対策の次なる一手とその実現に向けて、産官学民の協働と政策推進を継続するとしている。
厚生労働省では現在、「腎疾患対策検討会報告書に基づく対策の進捗管理および新たな対策の提言に資するエビデンス構築」および「腎疾患対策検討会報告書に基づく慢性腎臓病(CKD)対策の推進に資する研究」の2つ腎疾患政策研究事業を進めている。