海藻「エゴノリ」に肥満や2型糖尿病の予防作用 動脈硬化や脂肪肝も 福井県立大学

2022.02.22
 食用の紅藻類で、古くから郷土料理の食材として利用されてきた「エゴノリ」が、肥満、2型糖尿病、脂肪肝、高コレステロール血症などの進展を抑制することを明らかにしたと、福井県立大学が発表した。エゴノリに含まれる水溶性食物繊維やポリフェノールに、酸化ストレスと炎症の抑制作用があるという。

郷土料理に使われるエゴノリに肥満や2型糖尿病の予防効果

 研究は、福井県立大学学生物資源学部の村上茂特命教授らの研究グループが、新潟県の越後えご保存会、石川県立大学、石川県水産総合センターなどの協力を得て行ったもの。研究成果は、栄養学誌「Nutrition and Metabolism (Springer-Nature)」に掲載された。

 「エゴノリ」は食用の紅藻類で、古くから日本各地で郷土料理の食材として利用されてきた。福井県立大学の研究グループは、高脂肪食を与えたマウスに3ヵ月間エゴノリを与えることにより、肥満、2型糖尿病、脂肪肝など発症・進展が抑制されることを明らかにした。

 エゴノリに豊富に含まれる水溶性食物繊維やポリフェノールが、酸化ストレスや炎症反応を抑制することで、生活習慣病の予防効果を得られるという。エゴノリには、他の海藻と同様、低カロリーで健康維持に必要なミネラル、ビタミン、食物繊維などが豊富に含まれているとしている。

 「これまでの研究で、マウスを用い、エゴノリが食後の血糖値の上昇を抑制し、高血糖による血管内皮細胞の傷害を抑えることを明らかにしてきました。今回の検討結果とあわせ、エゴノリは肥満や2型糖尿病の予防効果が期待できる食材であることが示されました。今後、ヒトでもエゴノリの有効性を証明していく予定です」と、研究グループでは述べている。

 地球温暖化の影響による収穫量の減少や若者の海藻離れなどにより、エゴノリを使った料理や食文化は衰退の傾向にある。新潟県では越後えご保存会が組織され、エゴノリを使った郷土料理や食文化を残す取り組みが行われている。エゴノリを煮出して固めたゼリー状の料理は「えご」「おきゅうと」という名称で親しまれている。

エゴノリとおきゅうと

エゴノリに期待される健康増進・疾患予防効果

福井県立大学学生物資源学部
Edible red seaweed Campylaephora hypnaeoides J. Agardh alleviates obesity and related metabolic disorders in mice by suppressing oxidative stress and inflammatory response (Nutrition & Metabolism 2022年1月8日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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