糖尿病と認知症リスクとの関連は1型糖尿病でより強い

糖尿病は認知症のリスク因子として知られているが、過去の研究の大半はT2DMを対象とするか、病型を区別せずに解析されている。糖尿病治療の進歩により、かつては短命とされていたT1DMの予後が改善し、高齢の患者が増えてきており、T1DMと認知症リスクとの関連も明らかにする必要性が生じている。これを背景にPederson氏らは、米国の大規模医療データベース「All of Us(AoU)」を用いて、T1DMおよびT2DMと認知症発症との関連に関する前向きコホート研究を行った。
AoU登録時に50歳以上であり電子カルテ(EHR)情報に連携可能であって、登録以前に認知症と診断されていなかった28万3,772人(平均年齢64.62±8.96歳、女性56.7%)を追跡し、新たな認知症の発症リスクを解析した。認知症には、アルツハイマー型、血管性、原因不明など、全ての原因による認知症を含めた。
AoUやEHRのデータから糖尿病の病型に関する正確な情報を入手することは困難なため、解析に先立ち、まず病型推定のためのアルゴリズムを開発した。アルゴリズム開発には、自己申告に基づく糖尿病の病型の情報がある患者のデータを利用した。その患者群のうち、T1DMとしての診療記録が1回以上ある場合、またはC-ペプチドが3回以上測定されている場合のどちらが、自己申告に基づく病型とより一致するかを検討した。その結果、前者は感度0.59、特異度0.90、後者は感度0.76、特異度0.79であったことから、特異度の高い前者の基準を採用した。この基準に基づき、対象の1.91%に当たる5,442人がT1DMであり、それ以外で糖尿病による診療記録のある5万1,511人(対象の18.14%)をT2DMとした。
平均2.36年の追跡期間中に2,348人が認知症を発症。非糖尿病者を基準として、年齢、性別、人種/民族、教育歴、世帯収入を調整した解析(モデル1)では、糖尿病患者の認知症リスクはT1DMがHR2.82(95%信頼区間2.28~3.48)、T2DMがHR2.08(同1.87~2.31)といずれもリスク上昇が認められた。調整因子に喫煙・飲酒習慣を追加した解析(モデル2)でも、同順にHR2.38(1.84~3.08)、2.00(1.76~2.27)と、この関連が維持されていた。
性別、人種/民族で層別化した解析の結果も全体解析と同様の傾向が示された。例えば性別に関しては、女性患者の場合、T2DMはHR2.14(1.84~2.49)であり、T1DMはHR3.04(2.28~4.05)であって、男性患者は同順にHR2.02(1.74~2.36)、2.59(1.90~3.54)だった(いずれもモデル1での解析)。
認知症を発症したAoU参加者のうちT1DMの有病率は6.05%であったことなどから、AoU参加者における認知症発症に対するT1DMの寄与割合は3.90%であり、認知症を発症したT1DM患者の64.5%はT1DMに起因する発症と推定された。
論文の上席著者である同大学のJennifer Weuve氏は、「T2DMが認知症のリスク因子であることは既に知られていたが、今回の研究によって、T1DMも認知症のリスク因子であり、さらにT1DMはT2DMよりも強く認知症リスクと関連していることが示唆された」と述べている。
[HealthDay News 2026年3月19日]
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