妊娠糖尿病患者への指導・管理 保険診療ルールを明確化 厚生労働省「疑義解釈56」

2023.09.13
 厚生労働省は8月30日に、2022年度の診療報酬改定の疑義解釈(その56)を公表した。

 妊娠糖尿病患者への保険診療ルールについて、医療現場の疑問に答えている。日本糖尿病・妊娠学会などからの提案書にもとづき、医療技術評価分科会で検討したもの。

 「疑義解釈」は、厚生労働省から都道府県などに発出される、診療報酬の算定の可否や加算の施設基準などの詳細な回答をまとめたもの。

産後12週以降の血糖管理についても糖尿病が疑われる場合は算定が可能

【在宅妊娠糖尿病患者指導管理料】
Q1 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料1および2は、具体的にどのような場合に算定が可能か?
A それぞれ以下の場合に算定可能。
  •  在宅妊娠糖尿病患者指導管理料1については、妊娠中の糖尿病患者あるいは妊娠糖尿病の患者(別に厚生労働大臣が定める者に限る)であって入院中の患者以外の患者に対して、周産期における合併症の軽減のために適切な指導管理を行った場合に算定する。
  •  在宅妊娠糖尿病患者指導管理料2については、1を算定した入院中の患者以外の患者に対して、分娩後も継続して血糖管理のために適切な指導管理を行った場合に、当該分娩後12週の間、1回に限り算定する。

【血液形態・機能検査、糖負荷試験】
Q2 区分番号「D005」血液形態・機能検査 「9」ヘモグロビンA1c(HbA1c)および「D288」糖負荷試験について、妊娠糖尿病と診断された患者に対して産後12週以降に実施した場合、算定可能か?
A 血糖測定などにより医学的に糖尿病が疑われる場合、算定可。

 C101-3【在宅妊娠糖尿病患者指導管理料】は、「在宅療養する糖尿病に罹患した妊婦に対し、医師が指導管理を行う」ことを評価するもの。点数設定は以下の通り。

(1) 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料1 (分娩前) 150点
[算定要件]
妊娠糖尿病患者のうち、以下の(1)あるいは(2)に該当する者で血糖自己測定を行っている者

(1) 以下のいずれかを満たす糖尿病である場合(明らかな糖尿病)
▼ 空腹時血糖値が126mg/dL以上
▼ HbA1CがJDS値で6.1%以上(NGSP値で6.5%)
▼ 随時血糖値が200mg/dL以上(空腹時血糖値またはHbA1cで確認する)
▼ 糖尿病網膜症が存在する場合

(2) ハイリスク妊娠糖尿病
▼ HbA1CがJDS値で6.1%以下(NGSP値で6.5%以下)で75gOGTT2時間値が200mg/dL以上
▼ 75gOGTTを行い、次に掲げる項目に2項目以上該当する場合、または非妊娠時のBMIが25以上であって、次に掲げる項目に1項目以上該当する場合
・ 空腹時血糖値が92mg/dL以上
・ 1時間値が180mg/dL以上
・ 2時間値が153mg/dL以上

※インスリン製剤を使用している場合は、在宅自己注射指導管理料820点を算定可能

(2)在宅妊娠糖尿病患者指導管理料2 (分娩後) 150点
(1)に該当し、妊娠中に在宅妊娠糖尿病患者指導管理料1を算定した患者であって、引き続き分娩後での血糖管理を必要とする者について、当該分娩後12週間以内に適切な療養指導を行った場合に、1回に限り算定する。

 今回の疑義解釈では次の検査料について、「妊娠糖尿病と診断された患者」に対して、「血糖測定などにより医学的に糖尿病が疑われる場合」に、「産後12週以降に実施した場合」に算定可能であることが明確にされた。

D005【血液形態・機能検査】の「9 ヘモグロビンA1c(HbA1c)」 49点

D288【糖負荷試験】の「1 常用負荷試験(血糖および尿糖検査を含む)」 200点
「2 耐糖能精密検査(常用負荷試験および血中インスリン測定または常用負荷試験および血中C-ペプチド測定を行った場合)、グルカゴン負荷試験」 900点

疑義解釈資料の送付について(その56)(厚生労働省保険局医療課)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料