【新型コロナ】WHOがCOVID-19ガイドラインを改訂 JAK阻害薬等の推奨を追加
WHOのCOVID-19薬物治療ガイドライン「A living WHO guideline on drugs for covid-19」は、2020年9月に初版が発行され、一定のエビテンスが得られる都度、改訂が重ねられている。今回の改訂は7回目で、ガイドラインとして第8版に当たる。新たに加えられた推奨事項は以下の3項目。
まず、JAK阻害薬のバリシチニブについては、「重症または重篤なCOVID-19患者に、インターロイキン-6(IL-6)受容体遮断薬の代替として、コルチコステロイドと併用することを強く推奨する」とされた。これは、3件(合計参加者2,659人)のランダム化比較試験(RCT)の結果にもとづくもの。
バリシチニブと異なるJAK阻害薬であるルキソリチニブとトファシチニブに関しては、重症または重篤なCOVID-19患者に対する使用の条件付き推奨が追加された。ルキソリチニブについては2件(475人)のRCT、トファシチニブについては1件(289人)のRCTにもとづくもの。これら両剤に関しては、死亡リスクの低下や機械的人工換気を要する期間の短縮という点でのエビデンスレベルが低く、有害事象が増加する可能性を指摘したRCTが存在した。そのため、「バリシチニブやIL-6受容体遮断薬を使用できない場合にのみ、ルキソリチニブまたはトファシチニブの使用を検討する」とされている。
三つ目の推奨事項は、COVID-19治療薬として開発されたモノクローナル抗体、ソトロビマブに関するもの。オミクロン株の出現前に終了した1件(1,057人)のRCTにもとづき、入院リスクは高いが非重症のCOVID-19患者に限るという条件付きで推奨されている。著者らは、「モノクローナル抗体が、現在の用量でオミクロン株に対しても有効か否かを確認するにはより多くのデータが必要であり、追加データを解析可能になった段階でガイドラインの推奨事項が更新される」と述べている。
なお、本ガイドラインにおける「重篤なCOVID-19」とは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や敗血症、または機械的人工換気や昇圧薬などの生命維持治療を要する状態と定義されている。また「重症COVID-19」は、酸素飽和度が90%未満(ルームエアー)の場合、または重度の呼吸困難の兆候、肺炎の兆候のある場合と定義されており、重篤および重症に該当しない場合は「非重症COVID-19」に当たる。
[HealthDay News 2021年1月14日]
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