【新型コロナ】WHOがCOVID-19ガイドラインを改訂 JAK阻害薬等の推奨を追加

2022.01.25
WHOがCOVID-19ガイドラインを改訂、JAK阻害薬等の推奨を追加

 世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)薬物治療に関するガイドラインが改訂され、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬や、ソトロビマブの推奨事項が追加された。マクマスター大学(カナダ)のArnav Agarwal氏らのガイドライン作成グループによる研究の結果であり、詳細は「The BMJ」に1月13日掲載された。

 WHOのCOVID-19薬物治療ガイドライン「A living WHO guideline on drugs for covid-19」は、2020年9月に初版が発行され、一定のエビテンスが得られる都度、改訂が重ねられている。今回の改訂は7回目で、ガイドラインとして第8版に当たる。新たに加えられた推奨事項は以下の3項目。

 まず、JAK阻害薬のバリシチニブについては、「重症または重篤なCOVID-19患者に、インターロイキン-6(IL-6)受容体遮断薬の代替として、コルチコステロイドと併用することを強く推奨する」とされた。これは、3件(合計参加者2,659人)のランダム化比較試験(RCT)の結果にもとづくもの。

 バリシチニブと異なるJAK阻害薬であるルキソリチニブとトファシチニブに関しては、重症または重篤なCOVID-19患者に対する使用の条件付き推奨が追加された。ルキソリチニブについては2件(475人)のRCT、トファシチニブについては1件(289人)のRCTにもとづくもの。これら両剤に関しては、死亡リスクの低下や機械的人工換気を要する期間の短縮という点でのエビデンスレベルが低く、有害事象が増加する可能性を指摘したRCTが存在した。そのため、「バリシチニブやIL-6受容体遮断薬を使用できない場合にのみ、ルキソリチニブまたはトファシチニブの使用を検討する」とされている。

 三つ目の推奨事項は、COVID-19治療薬として開発されたモノクローナル抗体、ソトロビマブに関するもの。オミクロン株の出現前に終了した1件(1,057人)のRCTにもとづき、入院リスクは高いが非重症のCOVID-19患者に限るという条件付きで推奨されている。著者らは、「モノクローナル抗体が、現在の用量でオミクロン株に対しても有効か否かを確認するにはより多くのデータが必要であり、追加データを解析可能になった段階でガイドラインの推奨事項が更新される」と述べている。

 なお、本ガイドラインにおける「重篤なCOVID-19」とは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や敗血症、または機械的人工換気や昇圧薬などの生命維持治療を要する状態と定義されている。また「重症COVID-19」は、酸素飽和度が90%未満(ルームエアー)の場合、または重度の呼吸困難の兆候、肺炎の兆候のある場合と定義されており、重篤および重症に該当しない場合は「非重症COVID-19」に当たる。

[HealthDay News 2021年1月14日]

Copyright ©2022 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料