インスリン自動投与制御システム「AIDシステム」の実現に向けて糖尿病領域で戦略的提携 テルモとDiabeloop

2021.11.18
 テルモは11月17日、インスリン自動投与制御システム「AIDシステム(Automated Insulin Delivery system)」を実現するための投与制御アルゴリズムを開発しているフランスのDiabeloop社との包括的な提携契約を締結したと発表した。

 これにより、現在日本で進めているAIDシステムの共同開発に加えて、将来的な販売地域の拡大、製品パイプラインの拡充、さらにはAIDシステムの活用領域を広げることを両社で進めていく。

パッチ式インスリンポンプを用いたAIDシステムのさらなる拡大を目指す

 AIDシステムは、血糖コントロールのためにインスリン投与が必要な糖尿病患者の治療に使用されるもので、持続血糖測定器(CGM)でリアルタイムに測定した皮下のグルコース濃度に連動して、患者の状態に合わせたインスリン量が、インスリンポンプから持続的に投与されるシステム。

 日常生活を妨げることなく、グルコース濃度の細かな制御が期待できることから、AIDシステムは欧米を中心に拡大している。このシステムを実現するには、CGMとインスリンポンプに加えて、適切な投与量を算出し両者を連動させる投与制御アルゴリズムが必要となる。

 Diabeloop社は、投与制御アルゴリズムを搭載したスマートフォン型の専用端末「DBLG1」を開発し、CGMと他社のインスリンポンプを組み合わせたAIDシステムを既に欧州で展開している。

 このアルゴリズムは、無線通信でCGMから得る5分ごとのデータに加え、患者の状態、血糖値の推移、食事・活動のデータ入力をもとに、リアルタイムに適切なインスリン投与量を算出する。

 テルモは、インスリンポンプ「メディセーフウィズ」を2018年から販売している。メディセーフウィズは、糖尿病患者の日常的な活動を制限せずに治療できるように開発された日本で初のパッチ式インスリンポンプ*。また、2019年から、米デクスコム社のCGMを日本で販売している。

*インスリンを入れたポンプを直接お腹などに貼り付け、皮下にインスリンを注入するインスリンポンプ。ポンプの操作はリモコンで行う。

 テルモとDiabeloop社の両社は、日本の糖尿病患者への貢献を目指して、2020年からインスリン自動投与制御システムの共同開発に取り組んでいる。

 今回の戦略的提携にもとづき、共同開発を加速させ、パッチ式インスリンポンプを用いたAIDシステムのさらなる拡大を目指し、欧州をはじめ他の地域にも展開していくとしている。また、両社の知識と技術を持ち合わせて新たなパイプラインとなるテーマにも取り組む。

 テルモは糖尿病領域で、1982年から約40年にわたり、革新的な製品を提供し続けてきた。独特な形状をもつ血糖測定器や世界一細いインスリン用注射針、日本初のパッチ式インスリンポンプなどの幅広い製品群を取り揃えている。

 今年は、同社の創立100周年にあたり、また、インスリンの発見からも100年を迎える。世界中の糖尿病患者がさらに「自分らしい生活」を送れるように、これからも技術の進歩に取り組むとしている。

テルモ

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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