【米国糖尿病学会2023】週1回注射のインスリン製剤「Icodec」、GLP-1/グルカゴン受容体作動薬「Survodutide」の試験結果
週1回注射のインスリン製剤「Icodec」の第3a相試験の結果を発表
開発中の週1回注射の新しいインスリン製剤「Icodec」の第3a相試験の結果が発表された。「Icodec」の26週間の投与によりHbA1cは8.6%から7.0%に低下。「Icodec」はインスリンデグルデクに比べ、非劣性かつ優れた血糖降下作用を示した。
インスリン未治療の2型糖尿病患者では、1週間に1回注射はHbA1cの低下で有利であることが示された。詳細は、「JAMA」にオンライン掲載された。
試験では、インスリン未治療の2型糖尿病患者を対象に、週1回注射の「Icodec」と1日1回注射のインスリン デグルデクの有効性と安全性を比較し検討。
試験は11ヵ国の92拠点で実施され、参加者は「Icodec」を週1回投与しプラセボを1日1回投与する群、あるいはデグルデクを1日1回投与しプラセボを週1回投与する群にランダムに割り当てられた(各群294人)。
その結果、26週間の平均HbA1c値は、Icodec群では8.6%から7.0%に、デグルデク群では8.5%から7.2%に低下し(推定治療差 マイナス0.2%ポイント[95% CI -0.3~-0.1]、非劣性と優位性が示された。
ベースラインから26週目までの空腹時血漿グルコース値、治療の最後の2週間の週平均インスリン投与量、ベースラインから26週目までの体重の変化には、群間で有意差はみられなかった。低血糖率は、0週~31週は数値的に高く、0週~26週は統計的に有意に高かった。
「臨床現場でIcodecによる治療を検討する場合、週1回投与による利便性、血糖管理の改善、低血糖の絶対リスクについて比較検討する必要がある」と、テキサス大学サウスウェスタン医療センターのIldiko Lingva氏らは述べている。
GLP-1/GCG受容体作動薬「Survodutide」の第2相臨床試験の結果
開発中のGLP-1/GCG受容体作動薬「Survodutide」(BI 456906)の第2相臨床試験の結果が報告された。「Survodutide」は、GLP-1受容体とグルカゴン受容体の両方に作用するデュアル受容体作動薬。46週間の「Survodutide」投与により、肥満症患者で最大18.7%の体重減少が示された。
この無作為化二重盲検プラセボ対照用量決定試験には、BMIが27以上の387人の参加者が登録され、「Survodutide」およびプラセボが46週間にわたり毎週皮下投与された。
主要評価項目は、46週目のベースラインからの体重変化率で、副次評価項目には、46週目のベースラインから少なくとも5%、10%、15%の体重減少を達成した参加者の割合が含まれていた。
その結果は、明確な用量反応関係が示され、「Survodutide」の用量の増加は体重のより大きな減少と相関していた。46週目の平均体重減少率の、Survodutide群とプラセボ群との比較では、Survodutide群では、0.6mg(マイナス6.2%)、2.4mg(マイナス12.5%)、3.6mg(マイナス13.2%)、および4.8mg(マイナス14.9%)となり、プラセボ群のマイナス2.8%と比較して大幅な体重減少を達成した。
有害事象は、Survodutide群の参加者の90.9%で報告され、大多数は胃腸障害に関連するものだった。期間中に予期せぬ安全上の懸念は確認されなかった。
「グルカゴン受容体とGLP-1受容体の両方を活性化することにより、Survodutideは食欲を阻害し、エネルギー消費を改善する可能性がある。今回の知見では、Survodutideの用量の増加にともなう有意な体重減少が示され、良好な安全性プロファイルもみられた」と、アイルランドのユニバーシティ カレッジのCarel le Roux教授は述べている。
第83回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会
Once-Weekly Insulin Icodec vs Once-Daily Insulin Degludec in Adults With Insulin-Naive Type 2 Diabetes: The ONWARDS 3 Randomized Clinical Trial (JAMA 2023年6月24日)
Late Breaking Weight Loss Innovations: New Drug Therapies Shown to Offer Positive Outcomes for Obesity and Type 2 Diabetes Management (米国糖尿病学会 2023年6月25日)