がん診断後に2型糖尿病が増加し、両者の併存で死亡リスクが上昇

2022.07.21
 がんの診断後には2型糖尿病の発症が有意に増え、かつ2型糖尿病を発症すると全死亡リスクが上昇することを示すデータが報告された。コペンハーゲン大学(デンマーク)のLykke Sylow氏らの研究によるもので、「Diabetes Care」に5月27日、レターとして掲載された。

 2型糖尿病患者は種々のがん発症リスクが高いことが明らかになっている。しかしその一方で、がん患者の2型糖尿病発症リスクに関する知見は十分でない。そこでSylow氏らは、デンマークのヘルスケアデータを用いて、がん診断後の2型糖尿病の発症率、およびその後の生存期間への糖尿病の影響を検討した。なお、同国は国民皆保険であり、国民のヘルスケア関連情報がナショナルデータベースとして整備されている。

 コペンハーゲンの地域住民のうち、2004~2015年にがんを診断され、診断時点で2型糖尿病のなかった5万1,353人を症例群とし、年齢と性別が一致するがんおよび糖尿病のない対照群を、症例数比が1対10となるように抽出。症例群は中央値2.34年(四分位範囲0.70〜5.53)、対照群は同4.41年(2.04〜7.40)追跡した。

 解析の結果、多くのがんの診断後に2型糖尿病発症リスクの有意な上昇が認められた〔ハザード比(HR)1.09(95%信頼区間1.03~1.14)〕。がんの種類別に検討すると、膵臓がん〔HR5.00(同3.62~6.90)〕、脳・神経系腫瘍〔HR1.54(1.22~1.95)〕などでリスクがとくに高く、子宮体がん〔HR1.41(1.10~1.84)〕、肺がん〔HR1.38(1.14~1.66)〕、尿路がん〔HR1.32(1.15~1.51)〕、乳がん〔HR1.20(1.08~1.34)〕でも、2型糖尿病の有意なリスク上昇が認められた。一方、メラノーマ〔HR0.76(0.61~0.94)〕、リンパ系・造血器腫瘍〔HR0.83(0.71~0.98)〕、前立腺がん〔HR0.86(0.76~0.96)〕では、2型糖尿病リスクの有意な低下が認められた。

 次に、がん診断から2年後に生存していた2万8,308人のサブグループを対象に、がん診断後に発症した2型糖尿病の生命予後に及ぼす影響を解析。2型糖尿病を発症していないがん患者に比べて、がん診断後2年以内に2型糖尿病を発症していた患者は全死亡リスクが21%有意に高いことが明らかになった〔HR1.21(1.04~1.41)〕。

 著者らは本研究について、「がん患者の2型糖尿病リスクを検討した過去最大のコホート研究であり、コペンハーゲンの全地域住民を対象として実施されたもので、選択バイアスや想起バイアスがない」と特徴を述べ、「高品質の研究と言える」としている。結論は、「がんが2型糖尿病のリスクを押し上げ、そのことが全死亡リスクの上昇と関連していた。この結果は、がんサバイバーの2型糖尿病の発症に焦点を当てたさらなる研究が必要であることを物語っている」とまとめられている。

 なお、一部の著者がバイオ医薬品企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。

[HealthDay News 2022年6月10日]

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