2型糖尿病の心血管疾患に関する世界最大規模の試験「CAPTURE試験」結果 日本人2型糖尿病患者の3人に1人が心血管疾患

2021.05.26
 ノボ ノルディスク ファーマは、「CAPTURE試験」の日本人での結果を、第64回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。
 同試験で、日本人2型糖尿病患者の3人に1人が心血管疾患を有していることが明らかになった。また、2型糖尿病と心血管疾患を併発している日本人のうち、心血管への有用性が報告されている糖尿病治療薬を使用している患者は、10人中2人に過ぎないことも示された。

心血管疾患への有用性が報告されている糖尿病治療薬を使用している患者は10人に2人

 「CAPTURE試験」は、2型糖尿病患者の心血管疾患の有病率と心血管リスク、ならびにその管理について把握することを目的とした初の非介入国際共同試験。

 同試験の目的は、2型糖尿病患者のうち、心血管疾患ハイリスクおよびアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者の割合を把握すること、ならびに心血管疾患に罹患している2型糖尿病患者での、心血管疾患への有用性が報告されている医薬品の使用状況を記録すること。

 同試験は、2型糖尿病の診断を受けてから180日以上が経過した18歳以上の患者(日本では20歳以上)を被験者とし、アテローム動脈硬化性心疾患は、脳血管疾患(頸動脈疾患を含む)、冠動脈疾患および/または末梢動脈疾患として定義された。

 ノボ ノルディスクの出資により実施された同試験は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チェコ、中国、フランス、ハンガリー、イスラエル、イタリア、日本、メキシコ、サウジアラビア、トルコで、1万人近くの2型糖尿病患者が参加して行われ、日本からは800名が参加した。

 この試験により、日本人の2型糖尿病患者のおよそ3人に1人が心血管疾患に罹患していること、また、そのうち10人中9人がアテローム動脈硬化性心血管疾患に罹患していることが明らかになった。

 また、同試験では、2型糖尿病と心血管疾患を併発している日本人のうち、心血管疾患への有用性が報告されている糖尿病治療薬を使用している患者は、10人に2人に過ぎないことも明らかになった。

 「糖尿病の人が心血管疾患により死亡するリスクは、糖尿病でない人の1.8倍から2.5倍高まるといわれています。最近まで2型糖尿病と心血管疾患との関係の重要性については、国際的な規模では十分には認識されていませんでした」と、同社では述べている。

 HECサイエンスクリニック糖尿病センターセンター長で、同試験の責任医師を務める調進一郎氏は次のように述べている。

 「世界中の多数の国での2型糖尿病患者の心血管疾患有病率に関して同時期に調査したデータは少なく、そのような意味においてCAPTURE試験は重要なものです。データからは、日本人2型糖尿病患者の3人に1人が心血管疾患を有していることが明らかになり、本試験に参加した全世界の被験者の結果と同じ結果でした。またCAPTURE試験では、2型糖尿病と心血管疾患を併発している日本人のうち、心血管への有用性が報告されている糖尿病治療薬を使用している人は、10人中2人に過ぎないことも明らかになりました。今後はこのデータを用いて、日本人の心血管疾患を有する患者像や薬剤の使用状況についてさらなる解析を進めていく予定です」。

ノボ ノルディスク ファーマ
CAPTURE: a cross-sectional study of the contemporary (2019) prevalence of cardiovascular disease in adults with type 2 diabetes across 13 countries(EASD 2020, Oral Presentation #158)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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