気候変動と医療 医師の78%が「気候変動が健康に影響を及ぼしている」と実感 「情報や資源の不足」や「時間不足」が障壁に
78%の医師が「気候変動が健康に影響を及ぼしている」と実感
調査は、NPO法人日本医療政策機構(HGPI)と東京大学SPRING GXが、気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の開催に合わせて実施したもの。
調査は自記式質問紙票によるオンライン調査として2023年11月に実施され、全国で診療に携わっている医師1,100人が回答した。
その結果、医師の多くは、気候変動が日本人の健康に与える影響を実感しており、自身の患者への健康への影響も実感していることが示された。
医師の78.1%は「気候変動が人々の健康に影響を及ぼしている」と感じており、51.5%は「気候変動が自身の診療分野の患者の健康に影響を及ぼしている」と感じていることが示された。
気候変動が今後10年間で大きな悪影響を及ぼす健康問題として、「異常気象(洪水、台風、地滑り、山火事など)による外傷」(83.3%)、「熱関連疾患」(79.5%)、「節足動物媒介感染症」(75.8%)、「呼吸器疾患」(74.8%)などを挙げている。
調査結果について、滋賀県のみどりのドクターズは、次のコメントをしている。
半数以上の医師が「患者に対して、気候変動と健康について啓発を行うべき」
さらに、医師の70%は「より環境負荷が低く、持続可能性を考慮した製品、設備などの選択肢がある場合には、選択したい」と考えていることも示された。
半数以上の医師は、医師は、患者や自身の所属する医療施設に対して啓発を行うべきであると考えており、「患者に対して、気候変動と健康について啓発を行うべき」(56.7%)、「勤務する施設が持続可能な医療への転換のための啓発を施設に対して行うべき」(57.5%)といった意見が示された。
一方で、医師の半数以上は、気候変動と健康に関するより多くの行動を起こすことを妨げる主な障壁として、「情報や資源不足」(54.4%)、「知識不足」(52.7%)、「時間不足」(51.7%)を挙げている。
調査結果について、同プロジェクトを担当している同機構の菅原丈二副事務局長は、次のコメントをしている。
また、同機構では次の提言をしている。
(中略)
医師は日々患者の相談を受けており、社会からの認識と信頼を得ています。この信頼は、医師に大きな個人的・政治的な影響力を与えています。医師は患者への健康的なライフスタイルの提案と社会への健康的な公共政策を提唱するために、社会的影響力を行使する可能性をもっと認識することが期待されます。