ヒトインスリン製剤の冷蔵以外のより柔軟な保管法について肯定的な科学的見解 欧州医薬品庁

2022.05.11
 ノボ ノルディスクは4月22日、2種類のヒトインスリン製剤の保管法に関する同社の変更案について、欧州医薬品庁(EMA)から肯定的な科学的見解を得たと発表した。

 インスリンは温度の影響を受けやすく、温度が高すぎても低すぎても薬効が失われてしまう。インスリンの冷蔵は、暑い地域や国、また冷蔵施設や安定した電力供給へのアクセスが制限される人道的状況ではとくに難題になっている。

冷蔵施設へのアクセスが限られる暑い地域の約50ヵ国で適用

 ノボ ノルディスクは4月22日、2種類のヒトインスリン製剤の保管法に関する同社の変更案について、欧州医薬品庁(EMA)から肯定的な科学的見解を得たと発表した。

 この変更により、有効期限まで6ヵ月以上ある速効型インスリン「Actrapid」、および中間型インスリン「Insulatard」は、使用するまで冷蔵庫外(30℃未満を維持)で4週間保管できるようになる。使用を開始したインスリンは、冷蔵せずに保管する。*

* 日本では、Actrapidは「ノボリンR注」、Insulatardは「ノボリンN注」という製剤名でそれぞれ販売されているが、この記事に記載されている同2種類のヒトインスリン製剤の適応改定は、冷蔵施設へのアクセスが限られる暑い地域の約50ヵ国で適用される。

 このEMAの肯定的な見解は今後、ヒトインスリン製剤のより柔軟な保管条件について、関連する多くの低中所得国の保健当局からの承認取得を支持するものになるとしている。

 この新たな変更により、安定した冷蔵環境へのアクセスが限られ、診療所や薬局から遠く離れた場所に住んでいる場合もある多くの低中所得国の糖尿病患者にとって、柔軟性と利便性が高まることが期待される。

 タンザニア糖尿病協会の名誉事務局長のカウシク ラマイヤ氏は次のように述べている。
 「インスリン療法を受けている患者さんにとって、インスリンを定められた温度内に維持することは不安の種で難題であり、コンプライアンス不良の原因にもなりますが、解決策が常にみつかるわけではありません。リソースが限られた状況にある糖尿病患者さんが確立された治療薬のベネフィットをえられる新たな機会を設けることは、低中所得国の糖尿病患者さんの大半が抱えているアンメットニーズへ応えるための明確な貢献となります」。

ノボリンR注 添付文書 インタビューフォーム 患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)
ノボリンN注 添付文書 インタビューフォーム 患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)

ノボ ノルディスクファーマ ノボケア相談室

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

尿病関連腎臓病の概念と定義 病態多様性 低栄養とその対策
小児・思春期1型糖尿病 成人期を見据えた診療 看護師からの指導・支援 小児がんサバイバーの内分泌診療 女性の更年期障害とホルモン補充療法 男性更年期障害(LOH症候群)
神経障害 糖尿病性腎症 服薬指導-短時間で患者の心を掴みリスク回避 多職種連携による肥満治療 妊娠糖尿病 運動療法 進化する1型糖尿病診療 糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病患者の足をチーム医療で守る 外国人糖尿病患者診療
インクレチン(GLP-1・GIP/GLP-1)受容体作動薬 SGLT2阻害薬 NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療 骨粗鬆症 脂質異常症 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症
エネルギー設定の仕方 3大栄養素の量と質 高齢者の食事療法 食欲に対するアプローチ 糖尿病性腎症の食事療法
糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) GLP-1受容体作動薬 インスリン 糖尿病関連デジタルデバイス 骨粗鬆症治療薬 二次性高血圧 1型糖尿病のインスリンポンプとCGM

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料