ヒトインスリン製剤の冷蔵以外のより柔軟な保管法について肯定的な科学的見解 欧州医薬品庁
冷蔵施設へのアクセスが限られる暑い地域の約50ヵ国で適用
ノボ ノルディスクは4月22日、2種類のヒトインスリン製剤の保管法に関する同社の変更案について、欧州医薬品庁(EMA)から肯定的な科学的見解を得たと発表した。
この変更により、有効期限まで6ヵ月以上ある速効型インスリン「Actrapid」、および中間型インスリン「Insulatard」は、使用するまで冷蔵庫外(30℃未満を維持)で4週間保管できるようになる。使用を開始したインスリンは、冷蔵せずに保管する。*
* 日本では、Actrapidは「ノボリンR注」、Insulatardは「ノボリンN注」という製剤名でそれぞれ販売されているが、この記事に記載されている同2種類のヒトインスリン製剤の適応改定は、冷蔵施設へのアクセスが限られる暑い地域の約50ヵ国で適用される。
このEMAの肯定的な見解は今後、ヒトインスリン製剤のより柔軟な保管条件について、関連する多くの低中所得国の保健当局からの承認取得を支持するものになるとしている。
この新たな変更により、安定した冷蔵環境へのアクセスが限られ、診療所や薬局から遠く離れた場所に住んでいる場合もある多くの低中所得国の糖尿病患者にとって、柔軟性と利便性が高まることが期待される。
タンザニア糖尿病協会の名誉事務局長のカウシク ラマイヤ氏は次のように述べている。
「インスリン療法を受けている患者さんにとって、インスリンを定められた温度内に維持することは不安の種で難題であり、コンプライアンス不良の原因にもなりますが、解決策が常にみつかるわけではありません。リソースが限られた状況にある糖尿病患者さんが確立された治療薬のベネフィットをえられる新たな機会を設けることは、低中所得国の糖尿病患者さんの大半が抱えているアンメットニーズへ応えるための明確な貢献となります」。
ノボリンR注 添付文書 インタビューフォーム 患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)
ノボリンN注 添付文書 インタビューフォーム 患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)