米国内分泌学会が入院患者の血糖管理ガイドラインを改訂 「リアルタイムCGMの使用」などを推奨

2022.06.22
米国内分泌学会が非重症入院患者の血糖管理ガイドラインを改訂

 米国内分泌学会(ENDO)は、入院患者の血糖管理ガイドラインを改訂した。米ピッツバーグ大学のMary T. Korytkowski氏らが同学会の学術集会(ENDO 2022、6月11~14日、アトランタ)で内容を発表するとともに、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に6月12日公開された。

 改訂されたガイドラインは、臨床で遭遇する機会の多い、糖尿病患者の入院または入院中に高血糖が認められた、非重症の成人患者の血糖管理に関するトピックを10項目取り上げ、15項目からなる推奨事項を提示している。以下、一部を抜粋して紹介する。

 血糖変動のモニタリングや管理目標については、「低血糖リスクの高い患者に対するリアルタイムCGMのベッドサイドでの使用」、「待機手術が予定されている患者にはHbA1c8%未満、血糖値100~180mg/dLを目標に管理し、HbA1cの目標を達成不能の場合には血糖目標のみ達成を目指す」などを推奨している。

 インスリン投与については、「入院前からポンプ療法(CSII)中の患者には、糖尿病専門スタッフがいる病院ではベーサル/ボーラス療法(BBI)への変更ではなくCSIIを継続、専門スタッフがいない病院で入院期間が1~2日を超えると予想される場合はCSII中止前にBBIに移行する」、「糖質コルチコイド投与中に高血糖を来す患者へのNPHまたはBBI療法による血糖管理」などを推奨。経口薬関連では、「インスリンによる補正を伴うDPP-4阻害薬の使用、またはインスリン療法のいずれかを推奨」などの記載が見られる。

 このほか、「外科的処置を行う患者への術前経口補水液として炭水化物を含むものを用いない」、「入院前にインスリン療法を施行しておらず、食後高血糖是正のためのインスリンが必要な患者に対するインスリン投与量決定に、カーボカウントを使用しない」、「退院計画の一部として糖尿病教育を実施する」などの推奨も掲げられている。

 Korytkowski氏は、「改訂されたガイドラインは、糖尿病または入院中に高血糖が認められた非重症患者に特有の血糖管理上重要なケアのポイント、およびその対策を示している。これにより、当該患者の入院中の経過だけでなく、退院後の臨床転帰を改善する可能性がある」と述べている。

 なお、一部の著者が医薬品・医療機器関連企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。

[HealthDay News 2022年6月14日]

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