経口GLP-1受容体作動薬orforglipron 第Ⅲ相試験で肯定的なトップライン結果 肥満症治療薬として年内に各国申請予定 イーライリリー

2025.09.04
イーライリリー・アンド・カンパニーは、経口GLP-1受容体作動薬のorforglipronについて、肥満または過体重の成人を対象とした第III相試験において、肯定的なトップライン結果を発表した。本結果を受けイーライリリーは、同剤を肥満症治療薬として日本を含む各国で年内に承認申請を実施する予定とした。

 Orforglipronは、1日1回投与型の経口GLP-1受容体作動薬で、服用時の食事・飲水の制限なく、いつでも服用可能な薬剤。イーライリリー・アンド・カンパニーは今回、肥満または過体重の成人を対象とした2つの第Ⅲ相試験にて、orforglipronが肯定的なトップライン結果を得られたと発表した。本結果を受け同社は、orforglipronの肥満症を対象とする適応について、年内に各国の規制当局へ承認申請を提出する方針を示している。

ATTAIN-1試験(糖尿病非合併)

 ATTAIN-1は、肥満または過体重で併存疾患として高血圧、脂質異常、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)または心血管疾患のうち1種類以上ある成人(いずれも糖尿病患者は除く)3,127人を対象とした、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照試験として実施された。参加者はorforglipron 6mg、12mg、36mg、またはプラセボ群に3:3:3:4の比で割り付けられ、72週間にわたり投与を受けた。

 72 週時点において、orforglipron は 3 つの用量の全てで主要評価項目と主な副次評価項目を達成し、臨床上意義ある体重減少を示した。有効性estimandを用いた評価では、プラセボ群では平均0.9%(1.0kg;2.2ポンド)の体重減少率だったのに対し、36mg群では平均12.4%(12.4kg;27.3ポンド)の体重減少率を示した。また主な副次評価項目である、10%以上および 15%以上の体重減少がみられた参加者の割合は、36mg群において59.6%および39.6%であった。

  安全性プロファイルは、これまでに確立されたGLP-1受容体作動薬クラスと同様であった。最も高頻度で報告された有害事象は悪心や便秘、下痢などの消化器系事象で、そのほとんどが軽度〜中等度であった。

ATTAIN-2試験(糖尿病合併)

 ATTAIN-2試験は、肥満または過体重で2型糖尿病を有する成人約1,600人を対象とした、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照試験として実施された。参加者はorforglipron 6mg、12mg、36mg、プラセボの4群(1:1:1:2)に割り付けられ、72週間にわたり投与を受けた。投与は1mgから開始し4週ごとに段階的に増量して各維持用量に到達した。

 72週時点において、orforglipron は 3つの用量の全てで主要評価項目と主な副次評価項目を達成し、有意な体重減少、臨床的に意義のある HbA1c低下と心血管代謝系の危険因子の改善を示した。有効性estimandを用いた評価では、プラセボ群では平均2.2%(2.3kg;5.1ポンド)の体重減少率だったのに対し、36mg群では平均10.5%(10.4kg;22.9ポンド)の体重減少率を示した。また主な副次評価項目であるHbA1cの減少幅は、ベースラインの 8.1%から各群で平均1.3〜1.8%であった。HbA1c 6.5%以下および7%未満を達成した参加者の割合は、36mg群で75.0%および85.1%であった。

 安全性プロファイルは、これまでに確立されたGLP-1受容体作動薬クラスと同様であった。最も高頻度で報告された有害事象は悪心、嘔吐、下痢などの消化器系事象で、そのほとんどが軽度〜中等度であった。

<プレスリリース(日本イーライリリー)>

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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