【新型コロナ】長引く症状のすべてが後遺症とは限らない 糖尿病などが隠れている患者も 岡山大学が調査
感染後の長引く症状のすべてがコロナ後遺症とは限らない
岡山大学のコロナ・アフターケア外来(総合内科・総合診療科)を受診した患者のなかに、2型糖尿病などの代謝性疾患や呼吸器疾患など、新型コロナ以外の内科疾患が一定の割合で隠れていることが、同大学の調査で示された。
後遺症の症状に関連する疾患がみつかる例は67%に上り、その他は後遺症症状と関連のない疾患も発見された。
同外来では、これまでに900例を超える後遺症患者を診療している。研究グループは今回、2021年2月の開設から2023年6月までのあいだに、受診患者731例のうち、6.8%にあたる50例で、何らかの医学的介入や経過観察を必要とする疾患(52疾患)を発見した。
さらに、全体の2.2%にあたる16例では、コロナ後遺症よりも治療が優先される疾患がみつかった。なんらかの疾患がみつかる割合は、高齢になるほど上昇し、60歳以上では15.7%に及んだ。
疾患の内訳は、2型糖尿病などの内分泌代謝疾患や血液疾患、呼吸器疾患が最多で、それぞれ8例の患者でみつかった(2型糖尿病3例を含む内分泌・代謝性疾患8例、家族性高コレステロール血症2例、バセドウ病2例、反応性低血糖1例)。
また、52疾患のうち67%にあたる35疾患は、コロナ感染後の長引く症状と関連があり、一方、症状との関連がもっとも乏しかったのは内分泌代謝疾患だった。
研究は、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)高梁総合診療医学講座の中野靖浩氏と、学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載された。
「コロナ感染後の長引く症状のすべてがコロナ後遺症とは限らず、コロナ後遺症と思われている方のなかには、実は他の疾患による症状が重なっている可能性があります。コロナ後遺症の診療では、他の疾患が隠れていないかきちんと調べることが大切であり、隠れている他の疾患を診断・治療することで症状が改善する可能性があります」と、大塚教授は述べている。
「当院のコロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師が複数人で担当しています。常日頃から総合的に診療する当科だからこそ、隠れた疾患を見逃さずに多く発見できたのだと思います。これからも総合的な幅広い視点で、診療に臨みたいと思っています」と、中野氏は述べている。
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科
Occult endocrine disorders newly diagnosed in patients with post-COVID-19 symptoms (Scientific Reports 2024年3月5日)