世界初の週1回投与の持効型溶解インスリン製剤「アウィクリ注」発売 注射回数を大幅に減らし糖尿病患者の負担を軽減 ノボ

2025.01.31

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回皮下投与のインスリンアナログ製剤であるアウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位)(一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え))を、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、1月30日に発売した。

 アウィクリ注は、世界初の、半減期が約1週間であり作用が長時間持続する週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液。

 週1回皮下注射製剤であるため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減によってもQOLや治療実施率の向上が期待されるとしている。

世界初の週1回投与の基礎インスリン製剤
従来のインスリン製剤よりも注射回数を大幅に減少
患者の負担を軽減しQOLを向上

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回皮下投与のインスリンアナログ製剤であるアウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位)(一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え))を、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、1月30日に発売した。

 アウィクリ注は、世界初の、半減期が約1週間であり作用が長時間持続する週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液。

 皮下投与後、インスリン イコデクは可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたって持続する。

 700単位/mLと高濃度の製剤であるため、週1回投与のアウィクリ注の注射液量は1日1回の持効型溶解インスリンの1日投与量と同等としている。

 基礎インスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となるが、アウィクリ注は週1回皮下注射製剤であるため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減によってもQOLや治療実施率の向上が期待されるとしている。

 同剤の承認は、アウィクリ注の第3相試験プログラムであるONWARDS試験の結果にもとづいている。

 ONWARDS試験は、1型糖尿病あるいは2型糖尿病の成人患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル第3相臨床試験で構成され、うち4つの試験(ONWARDS 1、2、4、6)に日本人400例以上が参加している。

 ONWARDS試験はいずれも、アウィクリ注の有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。

 ONWARDS試験を通じて、週1回投与のアウィクリ注では、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較して非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験で、アウィクリ注の投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかったとしている。

 「インスリン治療を必要とする糖尿病のある人にとって、良好な血糖マネジメントを維持するためにこれまでの基礎インスリンでは毎日注射を行う必要があり、日常生活を送るうえで大きな負担となっていました。その結果、注射実施率の低下やインスリン導入の遅れにつながっていました。週1回の投与であれば、基礎インスリン製剤の注射回数は少なくとも1年間に365回から約52回に減り、心理的な治療の負担軽減や注射実施率の向上が期待できます。本インスリン製剤は、糖尿病治療における有用な新しいオプションになると考えています」と、同社では述べている。

ONWARDSプログラムについて

 ONWARDS 1試験では、インスリン治療歴のない2型糖尿病患者984例を対象に、78週間投与における、インスリンを除く糖尿病治療薬の併用下でのアウィクリ注週1回投与の効果および安全性をインスリン グラルギン100単位/mL 1日1回投与と比較した。主要評価項目である、ベースラインから52週までのHbA1cの変化量について、インスリン グラルギンに対するアウィクリ注の非劣性が検証された[p<0.0001]。

 ONWARDS 2試験では、基礎インスリン療法で治療中の2型糖尿病患者526例を対象に、26週間投与における、インスリンを除く糖尿病治療薬の併用/非併用下でのアウィクリ注週1回投与の効果および安全性をインスリン デグルデク1日1回投与と比較した。主要評価項目である、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量について、インスリン デグルデクに対するアウィクリ注の非劣性が検証された[p<0.0001]。

 ONWARDS 4試験では、Basal-Bolus療法で治療中の2型糖尿病患者582例を対象に、26週間投与における、インスリンを除く糖尿病治療薬の併用/非併用下でインスリン アスパルトを併用した場合のアウィクリ注週1回投与の効果および安全性をインスリン グラルギン100単位/mL 1日1回投与と比較した。主要評価項目である、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量について、インスリン グラルギンに対するアウィクリ注の非劣性が検証された[p<0.0001]。

 ONWARDS 6試験では、成人1型糖尿病患者582例を対象に、52週間投与における、インスリン アスパルトの併用下でのアウィクリ注週1回投与の効果および安全性をインスリンデグルデク1日1回投与と比較した。主要評価項目である、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量について、インスリン デグルデクに対するアウィクリ注の非劣性が検証された[p=0.006]。

アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位 (添付文書 医薬品ガイド) (医薬品医療機器総合機構)

Rationale and design of the phase 3a development programme (ONWARDS 1–6 trials) investigating once-weekly insulin icodec in diabetes (Diabetes, Obesity and Metabolism 2022年9月15日)
Weekly Icodec versus Daily Glargine U100 in Type 2 Diabetes without Previous Insulin (New England Journal of Medicine 2023年6月24日)
Switching to once-weekly insulin icodec versus once-daily insulin degludec in individuals with basal insulin-treated type 2 diabetes (ONWARDS 2): a phase 3a, randomised, open label, multicentre, treat-to-target trial (Lancet Diabetes and Endocrinology 2023年6月)
Switching to once-weekly insulin icodec versus once-daily insulin glargine U100 in individuals with basal-bolus insulin-treated type 2 diabetes (ONWARDS 4): a phase 3a, randomised, open-label, multicentre, treat-to-target, non-inferiority trial (Lancet 2023年6月10日)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

エネルギー設定の仕方 3大栄養素の量と質 食欲に対するアプローチ 糖尿病性腎症の食事療法
SGLT2阻害薬 NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療 骨粗鬆症 脂質異常症 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫
GLP-1受容体作動薬 インスリン 糖尿病関連デジタルデバイス 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~ 1型糖尿病(インスリンポンプや持続血糖測定器など) 骨粗鬆症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬 下垂体機能検査 二次性高血圧 低ナトリウム血症
神経障害 糖尿病性腎症 服薬指導-短時間で患者の心を掴みリスク回避 多職種連携による肥満治療 妊娠糖尿病 運動療法 進化する1型糖尿病診療 糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病患者の足をチーム医療で守る 外国人糖尿病患者診療 骨粗鬆症 バセドウ病

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料